平成24年度公開シンポジウム 「放射線のリスクを科学的に考える」

 昨年3月に起きた東日本震災に伴う福島第一原発の事故以来、放射線のリスクに対する世の中の関心が高まっております。専門家から見ても、正しい答えを導き出すのが難しいこの問題に対して、巷ではともすれば過剰なリスクを煽るような報道等も見受けられ、一般の方々の不安も募っている状況です。
 本学会では、環境変異原として放射線の遺伝毒性を扱う立場から、放射線リスクに関するワーキンググループを立ち上げ、昨年、関連する情報をまとめた「放射線のリスクを正しく理解するために」ホームページを公開しました。
 ワーキンググループのメンバーには情報に関する正確性を期するという意味からも、広く本学会会員である放射線の専門家にも加わっていただいております。今回こうした活動の延長として、学会の公開シンポジウムを「放射線のリスクを科学的に考える」というテーマで開催することになりました。そして、会員以外の専門家を含む8人の方々の講演を通じて、放射線のリスクに対する考え方、これまでの事例からわかる事、現在までの汚染状況について科学的に検証、皆様と理解を深める機械にさせていただきたいと考えております。
 放射線を怖がりすぎたり、怖がらなさ過ぎたりしないために、このJEMS公開シンポジウムが、一般の皆さんにもわかりやすい形で放射線のリスクに関する科学的な知識を提供し、学会としての社会貢献を果たすことができれば、幸いです。
  世話人: 鈴木孝昌(国立医薬品食品衛生研究所)

※シンポジウムのポスターはこちら(pdf)

※シンポジウムの動画が以下のサイトにてご覧いただけます。
(ユーザー名;rayrisk-wg、パスワード;symp2012)
平成24年度公開シンポジウム動画サイト

日 時:2012年5月26日(土)10:00~17:10
場 所:慶應義塾大学 芝共立キャンパス
           東京都港区芝公園1-5-30  アクセスはこちら
参加費:無料
    ※事前申し込みは不要です。当日、会場へ直接お越しください。
問い合わせ:公開シンポジウム世話人 鈴木孝昌 suzuki(at)nihs.go.jp
            ※(at)は@に変えてください。
協 賛:日本放射線影響学会、日本薬学会、慶應義塾大学薬学部

プログラム:

座長 葛西 宏(学会長/産業医科大学)
イントロダクション「我々は既に被曝していた(放射線リスクに関するHPの紹介)」
鈴木孝昌(国立医薬品食品衛生研究所)
特別講演「食品安全委員会で生涯100ミリシーベルトを設定した経緯」
山添 康(食品安全委員会、東北大学)
座長 藤川和男(近畿大学)
「広島、長崎の原爆被害から学ぶもの」
中村 典(放射線影響研究所)
「福島放射線衛生調査結果の報告 チェルノブイリ原子炉事故との比較」
高田 純(札幌医科大学)
「警戒区域への一時帰宅者に対する放射能モニタリングおよび一部汚染地域の実態調査」
須藤鎮世(就実大学)dd>
座長 降旗千惠(青山学院大学/国立医薬品食品衛生研究所)
「化学物質のリスク評価の観点から見た放射線のリスク」
森田 健(国立医薬品食品衛生研究所)
「マウスでの実験結果から低線量率放射線の健康リスクを考える」
嶋 昭紘((財)環境科学技術研究所)
「ヒトでの疫学的データより低線量放射線の健康リスクを考える」
秋葉澄伯(鹿児島大学)
座長 鈴木孝昌(国立医薬品食品衛生研究所)
川西優喜(大阪府立大学)
総合討論