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関連用語の解説 (五十音順)
- 菊池康基ら編,遺伝毒性試験用語集(サイエンティスト社)を一部改変.
- 下線を付けた用語は解説があります.
英語 |
isozime |
日本語 |
アイソザイム,イソ酵素 |
読み仮名 |
あいそざいむ,いそこうそ |
説明 |
同一生物種に存在し,物理化学的に異なるタンパクが化学的に同一の触媒反応を行う酵素群.おのおのの酵素は基質に対する親和性,阻害剤に対する感受性が異なり,種,組織により存在状態も異なる. |
英語 |
malignant tumor |
日本語 |
悪性腫瘍 |
読み仮名 |
あくせいしゅよう |
説明 |
腫瘍は良性腫瘍と悪性腫瘍とに区別され,一般にがんといえば悪性腫瘍をさす.悪性腫瘍は組織学上,上皮性のがん腫と非上皮性の肉腫および血液がんである白血病を含む.良性・悪性という区別は,病理組織像,発育速度,転移および再発の有無,全身への影響などにより決定される. |
英語 |
acridine orange staining |
日本語 |
アクリジンオレンジ染色 |
読み仮名 |
あくりじんおれんじせんしょく |
説明 |
アクリジンオレンジ(色素の一種)を用いてDNAを緑色,RNAを赤色,酸性ムコ多糖類を炎赤色の蛍光に染める方法.小核試験(micronucleus test)に応用され,小核(micronucleus)は緑黄色の蛍光を発する.ラット骨髄の肥満細胞(mast cell)にある顆粒はギムザ染色(Giemsa stain)を行った場合しばしば小核と誤認されるが,本法では炎赤色の蛍光に染まり,小核と区別できる. |
英語 |
apoptosis |
日本語 |
アポ(プ)トーシス,プログラム死 |
読み仮名 |
あぽ(ぷ)とーしす,ぷろぐらむし |
説明 |
細胞死の様式.ある種の細胞が生体内外の因子により,細胞内の核酸分解酵素(nuclease)を作動させて自己のDNA分解を促し,細胞を死に至らせること.その結果,DNAのオリゴヌクレオチド単位の分解が起こり,それが壊死(necrosis)とアポトーシスを区別する指標とされる. |
英語 |
alkylating agent |
日本語 |
アルキル化剤 |
読み仮名 |
あるきるかざい |
説明 |
メチル化,エチル化などのアルキル化を行う物質の総称.DNAにアルキル基を付加して突然変異(mutation)を起こす原因となりえる.遺伝毒性試験(genotoxicity test)では,しばしば陽性対照(positive control)物質に用いられる. |
英語 |
heterochromatin |
日本語 |
異質染色質,ヘテロクロマチン |
読み仮名 |
いしつせんしょくしつ,へてろくろまちん |
説明 |
異常凝縮を起こす染色体(chromosome)の一部分を構成する染色質(chromatin).異常凝縮は細胞分裂(mitosis)の終期(分裂終期,telophase),間期(分裂間期,interphase)および前期(分裂前期,prophase)などに起こり,塩基性色素に濃染する.凝縮した異質染色質は遺伝的に不活性状態にあるとされている.反義語, 真正染色質(euchromatin) |
英語 |
aneugen |
日本語 |
異数性誘発物質 |
読み仮名 |
いすうせいゆうはつぶっしつ |
説明 |
異数体(aneuploid)を誘発する物質のこと.また,異数性(aneuploidy)と倍数性(polyploidy)との相関より,染色体(chromosome)の数的異常(numerical aberration)を誘発する物質の総称として用いられる場合もある.ただし,まだ確定された用語ではない. |
英語 |
aneuploid(aneuploidy) |
日本語 |
異数体(異数性) |
読み仮名 |
いすうたい(いすうせい) |
説明 |
染色体(chromosome)数が,その種に固有の染色体数(2n)より1から数本少ないか,多いこと.例,2n-1,2n+1.このような染色体からなる細胞を異数体細胞(aneupoid cell)という.数的異常(numerical aberration)参照. |
英語 |
heredity |
日本語 |
遺伝 |
読み仮名 |
いでん |
説明 |
遺伝情報の親から子への垂直伝達.遺伝学(genetics)参照 |
英語 |
genetic code |
日本語 |
遺伝暗号 |
読み仮名 |
いでんあんごう |
説明 |
遺伝子(gene)の核酸塩基配列の順序により記録されている遺伝情報.遺伝暗号の指令に従って,それぞれの遺伝子に特異的なタンパクが合成される.一つの遺伝暗号は三個の連続したヌクレオチド(nucleotid),すなわちtripletで構成され,これは暗号単位の意味からコドン(codon)と呼ばれている. |
英語 |
genetics |
日本語 |
遺伝学 |
読み仮名 |
いでんがく |
説明 |
遺伝現象および遺伝的変異を研究する生物学の一分野.heredity参照. |
英語 |
gene |
日本語 |
遺伝子 |
読み仮名 |
いでんし |
説明 |
遺伝的形質(genetic marker)を規定する機能単位.DNA(またはRNA)分子上の一定領域で,コドン(codon)の配列によりタンパクを規定する. |
英語 |
genotype |
日本語 |
遺伝子型 |
読み仮名 |
いでんしがた |
説明 |
表現型(phenotype)の対語として用いられる.固体の形質発現を支配する遺伝情報について,遺伝子(gene)の構成で表したもの.また,ある特定形質に関与する一個ないし数個の遺伝子座(locus)について使うこともある.反義語,表現型(phenotype) |
英語 |
locus |
日本語 |
遺伝子座 |
読み仮名 |
いでんしざ |
説明 |
染色体(chromosome)上において遺伝子(gene)が占める位置.単に座ともいう. |
英語 |
gene amplification |
日本語 |
遺伝子増幅 |
読み仮名 |
いでんしぞうふく |
説明 |
一つの遺伝子(gene)が繰り返し複製されること. |
英語 |
gene map |
日本語 |
遺伝子地図 |
読み仮名 |
いでんしちず |
説明 |
遺伝子(gene)が染色体(chromosome)のどこに存在するかを示した図.同義的な用語としてgenetic mapやchromosome mapがある. |
英語 |
gene mutation |
日本語 |
遺伝子突然変異 |
読み仮名 |
いでんしとつぜんへんい |
説明 |
DNA塩基の置換,欠失,挿入などにより,単一遺伝子または調節遺伝子の塩基配列に生じた恒久的な変化.点突然変異(point mutation). |
英語 |
gene conversion |
日本語 |
遺伝子変換 |
読み仮名 |
いでんしへんかん |
説明 |
相同染色体(chromosome)間および対立遺伝子(allele)間の交換.相同なDNA配列(対立遺伝子あるいは非対立遺伝子)間の遺伝的情報の非互換的な組換えを行うこと. |
英語 |
genetic recombination |
日本語 |
遺伝的組換え |
読み仮名 |
いでんてきくみかえ |
説明 |
組換え(recombination)と同じ意味で用いられている. |
英語 |
genetic endpoint |
日本語 |
遺伝的指標 |
読み仮名 |
いでんてきしひょう |
説明 |
遺伝毒性試験(genotoxicity test)において,検出し得る遺伝的変化あるいは現象.例えば,遺伝子突然変異(gene mutation),染色体(chromosome)異常,DNA損傷,DNA付加体(adduct)の生成など. |
英語 |
gentic homology |
日本語 |
遺伝的相同性 |
読み仮名 |
いでんてきそうどうせい |
説明 |
DNA塩基配列の相似性,類似性. |
英語 |
genetic comlementation |
日本語 |
遺伝的相補性 |
読み仮名 |
いでんてきそうほせい |
説明 |
一つの遺伝的形質(genetic marker)に関し,二つの突然変異(mutation)が同一細胞内にそれぞれヘテロの状態で存在するとき,互いに欠けている機能を補い合い,野生型(wild type)またはそれに近い表現型(phenotype)を表す現象. |
英語 |
genetic polymorphism |
日本語 |
遺伝的多型,遺伝的多様性 |
読み仮名 |
いでんてきたがた,いでんてきたようせい |
説明 |
一つの生物集団の個体間に,ある形質や形態について多様性の存在すること.生物集団に遺伝的多型(genetic polymorphism)の存在することが生物進化を促したと考えられる. |
英語 |
genetic marker |
日本語 |
遺伝的標識,遺伝的形質 |
読み仮名 |
いでんてきひょうしき,いでんてきけいしつ |
説明 |
遺伝解析に利用される,遺伝子(gene)に支配された明瞭な表現型(phenotype).例えば,微生物における栄養要求性や薬剤耐性,高等動物では形態学的形質(毛色,眼色,羽の形状)など. |
英語 |
genetic toxicity |
日本語 |
遺伝毒性,遺伝子毒性 |
読み仮名 |
いでんどくせい,いでんしどくせい |
説明 |
Genotoxicityと同義語として使われている. |
英語 |
genotoxicity |
日本語 |
遺伝毒性,遺伝子毒性 |
読み仮名 |
いでんどくせい,いでんしどくせい |
説明 |
遺伝物質に対する毒性の総称.最近ではDNA損傷性から突然変異誘発(mutagenesis)性,染色体(chromosome)異常誘発性までを包含する広い意味に用いられている.変異原性(mutagenicity)参照 |
英語 |
genetic toxicology |
日本語 |
遺伝毒性学 |
読み仮名 |
いでんどくせいがく |
説明 |
DNA損傷,突然変異(mutation),染色体(chromosome)異常など,生体の遺伝(heredity)を担う物質への毒性を引き起こす物質を同定したり,その作用機序などを研究する分野. |
英語 |
genotoxicity test |
日本語 |
遺伝毒性試験 |
読み仮名 |
いでんどくせいしけん |
説明 |
遺伝毒性(genotoxicity)を検出する試験の総称.これらの試験には,遺伝子突然変異(gene mutation)や染色体(chromosome)異常を検出する方法,突然変異(mutation)の初期変化としてDNA損傷を検出する方法方法などがある.また,用いられる試験系も,ファージ,細菌,酵母,植物,昆虫,哺乳類,あるいは哺乳類の培養細胞と多様である.主な試験を下記に示す.
1.遺伝子突然変異検出系
細菌を用いる復帰突然変異(reverse mutation)試験 エームス試験(Ames test) 大腸菌試験 宿主経由試験(host-mediated assay) 哺乳類培養細胞を用いる遺伝子突然変異試験(mammalian cell gene mutation test) マウス・リンフォーマ(TK)アッセイ(mouse lymphoma assay) HPRTアッセイ ウアバイン耐性アッセイ ショウジョウバエを用いる伴性劣性致死試験(Drosophila sex linked recessive lethal test) ショウジョウバエを用いるスポットテスト(Drosophila spot test) マウス毛色スポット試験 マウス特定座位試験(specific locus test) トランスジェニックマウス(transgenic mouse)を用いる試験
2.染色体異常検出系(染色体異常試験,chromosome aberration test)
培養細胞を用いる試験 骨髄など体細胞を用いる試験 生殖細胞を用いる試験 小核試験(micronucleus test) 優性致死試験(dominant lethal test) 相互転座試験(reciprocal translocation test)
3.DNA損傷性検出系 ファージインダクション試験 細菌を用いるDNA修復試験 レックアッセイ(rec-assay) ポルアッセイ(pol-assay) ユーエムユーアッセイ(umu assay) ショウジョウバエを用いるDNA修復試験(Drosophila DNA repair test) 不定期DNA合成(unscheduled DNA synthesis,UDS)試験 コメットアッセイ(comet assay) 32Pポストラベル試験 DNA鎖切断試験
4.その他 酵母を用いる体細胞組換えおよび遺伝子変換試験 培養細胞を用いる形質転換試験(transformation test) 姉妹染色分体交換(sister chromatid exchange,SCE)試験 |
英語 |
non-genotoxic carcinogen |
日本語 |
遺伝毒性のないがん原物質 |
読み仮名 |
いでんどくせいのないがんげんぶっしつ |
説明 |
非変異がん原物質ともいう.遺伝毒性(genotoxicity)を示さないが,がんを誘発する化学物質の総称. |
英語 |
genetic material |
日本語 |
遺伝物質 |
読み仮名 |
いでんぶっしつ |
説明 |
遺伝(heredity)を司る物質のこと.遺伝子(gene)を概念的に表現するときに用いられることが多い. |
英語 |
negative control (group) |
日本語 |
陰性対照(群) |
読み仮名 |
いんせいたいしょう |
説明 |
試験系において被験物質処理群との比較のために用いる無処理群,あるいは溶媒対照群.試験系が正常であることを確認するためにも必要である.反義語 陽性対照(群)positive control |
英語 |
induction test (phage) |
日本語 |
インダクションテスト |
読み仮名 |
いんだくしょんてすと |
説明 |
溶原ファージ(prophage)の誘導活性を指標にした遺伝毒性試験の一つ.代表的な方法として,溶原ファージ(プロファージ)λpapaの溶原菌GY5027とインディケーターに大腸菌(Escherichia coli)GY4015を用いる方法がある. |
英語 |
auxotroph |
日本語 |
栄養要求体,栄養要求性突然変異体 |
読み仮名 |
えいようようきゅうたい,えいようようきゅうせいとつぜんへんいたい |
説明 |
突然変異(mutation)により酵素の欠損などが生じ,最少培地上では生育できず,培養液などに含まれる栄養素の一部を取り込まねば生存できない生物個体,細胞,または細菌.例,ヒスチジン(アミノ酸の一種)要求性ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium).独立栄養体(autotroph),従属栄養体(heterotroph)参照.反義語,原栄養体(prototroph). |
英語 |
Ames test |
日本語 |
エームス試験 |
読み仮名 |
えーむすしけん |
説明 |
遺伝毒性試験(genotoxicity test)の一つ.B. N. Ames博士が開発したネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)を用いて復帰突然変異(reverse mutation)を検出する試験系.化学物質の遺伝毒性(genotoxicity)の検出,がん原性(carcinogenicity)のスクリーニングとして広く用いられる. |
英語 |
liquid holding recovery |
日本語 |
液体保持回復 |
読み仮名 |
えきたいほじかいふく |
説明 |
紫外線照射により遺伝子に損傷を受けた大腸菌(Escherichia coli)を,栄養寒天培地上に播種する前に,ある一定期間栄養源がなく増殖できない緩衝液中に放置すると,照射後直ちに播種した場合に比べ,高い生存能力が認められる.この現象を液体保持回復と呼ぶ.細胞増殖の遅れが除去修復(excision repair)機構の効率を高めるとして説明される. |
英語 |
SOS repair |
日本語 |
SOS修復 |
読み仮名 |
えすおーえすしゅうふく |
説明 |
複製後修復(post-replication repair)の一つで,救命のための非常用修復と考えられている.組換え修復(recombination repair)は修復(repair)の際に誤りはほとんど起こらない.しかし,修復には時間がかかる上に,DNAに多くの傷が生じた場合には,機能しなくなり,傷を持った細胞は死滅する.このような場合に,緊急避難的にDNAに生じた穴を,塩基の対合の法則を無視して,でたらめな塩基で埋めていく複製をいう.この結果,塩基配列に狂いが生じるので,突然変異(mutation)が起こることになる.この複製はDNAに傷がないときは働かないので,誘導性修復ともいわれている. |
英語 |
S-phase synthesis |
日本語 |
S期DNA合成 |
読み仮名 |
えすきでぃーえぬえーごうせい |
説明 |
細胞周期(cell cycle)のS期に行われるDNA合成(定期DNA合成)でDNAの量が2倍となる.複製のためのDNA合成(replicative DNA synthesis)参照. |
英語 |
X-chromosome |
日本語 |
X染色体 |
読み仮名 |
えっくすせんしょくたい |
説明 |
性決定に関与する性染色体(sex-chromosome)の一つ.哺乳類では,同型接合(XX)が雌,異型接合(XY)が雄になる.X染色体上には多くの遺伝子(gene)が存在することが知られている. |
英語 |
N-terminus |
日本語 |
N末端 |
読み仮名 |
えぬまったん |
説明 |
タンパク質またはペプチド鎖で遊離のα-アミノ基(-NH2)のあるほうの末端,またはそのアミノ散々基.C末端(C-terminus)参照 |
英語 |
episome |
日本語 |
エピゾーム |
読み仮名 |
えぴぞーむ |
説明 |
細菌の構成要素として不可欠なものではないが,細菌の細胞内に存在して染色体(chromosome)とは独立に増殖できるプラスミド(plasmid)のうち,特に細菌の染色体に挿入されて染色体と共に増殖できる因子の総称.大腸菌(Escherichia coli)の性因子、コリシン因子、溶原性ファージなどがその例である.自立状態と.染色体に組込まれた状態の二態をとりうるとされている. |
英語 |
insertion |
日本語 |
塩基対間挿入 |
読み仮名 |
えんきついかんそうにゅう |
説明 |
染色体(chromosome)またはDNAが,他の染色体またはDNAに組み込まれること.転座(translocation)の一型式であり,同じ染色体で起こった場合を転位(shift)という |
英語 |
base (pair) substitution |
日本語 |
塩基対置換 |
読み仮名 |
えんきついちかん |
説明 |
DNA上の1塩基が交換する点突然変異(point mutation)の様式.プリン(purine)塩基(アデニン,グアニン)間あるいはピリミジン(pyrimidine)塩基(シトシン,チミン)間同士の交換を同性塩基対置換(トランジッション,Transition)といい,プリン塩基からピリミジン塩基への置換,またはその逆を異性塩基対置換(トランスバージョン,Transversion)という.細菌を用いる復帰突然変異(reverse mutation)試験に用いられるネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)のTA1535,TA100,大腸菌WP2uvrAなどは塩基対置換型変異が検出できる菌株として選ばれた. |
英語 |
endonuclease |
日本語 |
エンドヌクレアーゼ |
読み仮名 |
えんどぬくれあーぜ |
説明 |
核酸分解酵素(nuclease)の一種.ポリヌクレオチド(nucleotid)分子鎖中の燐酸ジエステル結合を水解し、オリゴヌクレオチドを生成する酵素の総称.エクソヌクレアーゼに対比される. |
英語 |
extranuclear gene |
日本語 |
核外遺伝子 |
読み仮名 |
かくがいいでんし |
説明 |
ミトコンドリア(mitochondria)や葉緑体などの核外DNAに依存し、細胞質遺伝(cytoplasmic inheritance)を司る遺伝子(gene). |
英語 |
karyotype |
日本語 |
核型 |
読み仮名 |
かくがた |
説明 |
生物は種によってそれぞれ固有の染色体(chromosome)構成を保持しており,その特性を染色体の数,および形態で表したものを核型という.一般には動原体(centromere)の位置,付随体や二次狭窄(secondary constriction)の有無,数,位置などをidiogramという図式で示す.核型で染色体を細かく調べることを核型分析という.核型の表し方は種々の方法が考案されているが,ヒトでは表記法が国際的に統一されている. |
英語 |
stacking |
日本語 |
核酸塩基の積み重ね |
読み仮名 |
かくさんえんきのつみかさね |
説明 |
DNAやPNAがらせん構造をとると,塩基はすべてらせん軸と直交する方向に突出するため,たがいに重なり合いを生じることになる.この重なり合い(積層)をスタッキングという.上下に隣接してスタッキングした塩基間に働く相互作用(stacking interaction)は二重らせん構造安定化の大きい要因であると考えられている. |
英語 |
nucleolus |
日本語 |
核小体,仁 |
読み仮名 |
かくしょうたい,じん |
説明 |
核(nucleus)分裂の前中期から後期を除くほとんどすべての核内に存在する1ないし数個の球状の小体で,RNAとタンパク質を含む. |
英語 |
endoreduplication |
日本語 |
核内倍加 |
読み仮名 |
かくないばいか |
説明 |
細胞分裂(mitosis)を行わず,2回のDNA合成(S期)が連続する現象.その結果,染色体(chromosome)が2本並列した像(二重染色体, diplochromosome)として観察される.S期が3回続けば四重染色体(quadruple chromosome)となる.染色体異常試験(chromosome aberration test)においては倍数性(polyploidy)細胞として数的異常(numerical aberration)に分類される. |
英語 |
endomitosis |
日本語 |
核内分裂 |
読み仮名 |
かくないぶんれつ |
説明 |
核膜(nuclear membrane)が消失せず,紡錘体(spindle body)も形成されず,染色体(chromosome)が核内で倍加する現象.ショウジョウバエなどの唾腺にみられる巨大多糸染色体(polytene chromosome)はその一例である. |
英語 |
nuclease |
日本語 |
核酸分解酵素 |
読み仮名 |
かくぶんかいこうそ |
説明 |
核酸を分解する酵素の総称.エクソヌクレアーゼ,エンドヌクレアーゼ(endonuclease)などが知られている. |
英語 |
nuclear membrane (nuclear envelope) |
日本語 |
核膜 |
読み仮名 |
かくまく |
説明 |
核(nucleus)を細胞質(cytoplasm)と異なった環境に保つための二重膜構造.細胞分裂(mitosis)時には前期の終わりの紡錘体形成に伴って消滅し,終期で再び核膜が出現する. |
英語 |
cell line |
日本語 |
株化細胞 |
読み仮名 |
かぶかさいぼう |
説明 |
脊椎動物の細胞を培養すると,通常ある回数分裂すると死滅するが,ときに増殖能を失わず,無限に増殖可能な細胞が出現することがある.このような細胞を株化細胞という.一般的に,実験に用いられる培養細胞のほとんどが株化細胞である. |
英語 |
oncogene |
日本語 |
がん遺伝子 |
読み仮名 |
がんいでんし |
説明 |
細胞のがん化に関与している遺伝子(gene)をいう.発生や分化に必須な,例えば,成長因子.成長因子受容体,シグナル伝達物質.核内遺伝子発現制御物質などに関係した遺伝子. |
英語 |
interphase |
日本語 |
間期 |
読み仮名 |
かんき |
説明 |
細胞周期(cell cycle)における細胞分裂期(mitotic phase)を除く時期.間期の核内においてはDNA, RNA,タンパク合成などが行われている.細胞周期(cell cycle), 細胞分裂(mitosis)参照. |
英語 |
carcinogen |
日本語 |
がん原(性)物質 |
読み仮名 |
がんげん(せい)ぶっしつ |
説明 |
ヒトや動物にがんを誘発する化学物質の総称. |
英語 |
carcinogenicity |
日本語 |
がん原性 |
読み仮名 |
がんげんせい |
説明 |
ヒトや動物にがんを誘発する性質. |
英語 |
stem cell |
日本語 |
幹細胞 |
読み仮名 |
かんさいぼう |
説明 |
自己複製(self renewal)能を持つ未分化の親細胞.血液,皮膚,腸上皮,生殖器などの細胞はそれぞれの幹細胞から分化し成熟する.幹細胞の他の重要な性質は,分化せずに自分自身と同じ幹細胞を複製する能力をもつことである. |
英語 |
ring chromosome |
日本語 |
環状染色体 |
読み仮名 |
かんじょうせんしょくたい |
説明 |
交換(exchange)型の染色体(chromosome)異常の一つ.末端部のないリング状染色体のことをいう.また原核生物では,例えば大腸菌などの染色体が環状のDNAになっているのをいう. |
英語 |
indirect mutagen |
日本語 |
間接変異原,非直接変異原 |
読み仮名 |
かんせつへんいげん,ひちょくせつへんいげん |
説明 |
代謝されることによって変異原性(mutagenicity)を示す物質.前駆型変異原(promutagen), 最終変異原(ultimate mutagen)参照. |
英語 |
false negative |
日本語 |
偽陰性 |
読み仮名 |
ぎいんせい |
説明 |
1)ある遺伝毒性試験(genotoxicity test)で陽性となるべき遺伝毒性(genotoxicity)物質が,試験は正常に行われたにもかかわらず,何らかの生物学的要因によって,陰性となってしまった場合をいう.この場合,技術的なミスなどによる陰性結果は除外される. 2)動物やヒトのがん原物質(carcinogen)が遺伝毒性試験で陰性となった場合,がん原性(carcinogenicity)に関しfalse negativeであるということがある.反義語, 偽陽性(false positive). |
英語 |
kinetoplast |
日本語 |
キネトプラスト |
読み仮名 |
きねとぷらすと |
説明 |
寄生性ベン毛虫類(トリパノゾーマなど)のベン毛の基部の後方にある球状または棒状の構造体.キネトプラストは特有の核外DNAを含み,自己複製能を有する細胞小器官(organelle)の一つ. |
英語 |
chimera |
日本語 |
キメラ |
読み仮名 |
きめら |
説明 |
遺伝的に異なる個体から由来した2種以上の細胞から人為的に作られた生物個体.しかし,精子と卵の合一による複合体(受精卵)からなる個体は含めない.例,キメラマウス.類語としてモザイク(mosaic)があり,遺伝的に同一起源の2種以上の細胞よりなる個体をさす. |
英語 |
back mutation |
日本語 |
逆向突然変異 |
読み仮名 |
ぎゃっこうとつぜんへんい |
説明 |
復帰突然変異(reverse mutation)と同義. |
英語 |
gap |
日本語 |
ギャップ |
読み仮名 |
ぎゃっぷ |
説明 |
染色体(chromosome)の軸上に存在する非染色性部位(achromatic region).切断ほど明確ではないが,明らかな非染色性部位が確認できるもの.染色分体型ギャップ(chromatid gap)と染色体型ギャップ(chromosome gap,isochromatid gapとの識別は不可)がある.二次狭窄(secondary constriction)との識別に注意が必要.なお,ギャップおよび切断の定義については意見の分かれるところである. |
英語 |
gap junction |
日本語 |
ギャップ結合 |
読み仮名 |
ぎゃっぷけつごう |
説明 |
細胞間連結のうち細胞膜同士が約2 nmのチャンネルを隔てて相対している斑状部分構造.このチャンネルにより隣接する細胞同士は相互連絡を持ち,1?1.5 Kd以下の分子は自由に移動する. |
英語 |
nucleophile |
日本語 |
求核物質 |
読み仮名 |
きゅうかくぶっしつ |
説明 |
有機化学反応で,相手分子の電子密度の小さい部分に電子を与えるかまたは共有させて反応する物質. |
英語 |
electrophile |
日本語 |
求電子物質 |
読み仮名 |
きゅうでんしぶっしつ |
説明 |
電子不足原子や原子団を持つ物質.多くの変異原(mutagen)やがん原物質(carcinogen)はこれに含まれる.DNAの親核部分(O,N)と不可逆的な結合を起こす. |
英語 |
false positive |
日本語 |
偽陽性 |
読み仮名 |
ぎようせい |
説明 |
1)遺伝毒性試験(genotoxicity test)で本来陰性となるべき非遺伝毒性(genotoxicity)物質が,試験の技術的な問題以外の,何らかの生物学的要因によって,ある試験で陽性として検出された場合をいう. 2)非がん原物質(carcinogen)が遺伝毒性試験で陽性となった場合,がん原性(carcinogenicity)に関してfalse positiveであるということがある.反義語, 偽陰性(false negative) |
英語 |
covalent binding |
日本語 |
共有結合 |
読み仮名 |
きょうゆうけつごう |
説明 |
電子対が,二つの原子に共有されることによって形成される化学結合. |
英語 |
polar body |
日本語 |
極体 |
読み仮名 |
きょくたい |
説明 |
卵母細胞の減数分裂(meiosis)の過程で生じる娘細胞.細胞質(cytoplasm)の分裂は著しく不等分裂で,細胞質の大部分を含む大きな卵子とごくわずかな細胞質しか含まない小さな細胞に分割される.この小さな細胞を極体という.第一減数分裂期に第一極体,第二減数分裂期に第二極体が生じる.卵子形成(oogenesis)参照. |
英語 |
inbred strain |
日本語 |
近交系 |
読み仮名 |
きんこうけい |
説明 |
ラットおよびマウスなどのげっ歯類では兄妹交配を20世代以上継続している系統を近交系とよび,代を重ねるごとに遺伝子構成は均一性を増す.近交系動物を使用すれば,少なくとも遺伝子の違いによる成績のバラツキを考慮する必要はない.クローズドコロニー(closed colony)参照. |
英語 |
proximate mutagen |
日本語 |
近接変異原 |
読み仮名 |
きんせつへんいげん |
説明 |
前駆型変異原(promutagen)が活性を持った最終変異原へと代謝される途中の物質.最終変異原(ultimate mutagen)参照. |
英語 |
recombination |
日本語 |
組換え |
読み仮名 |
くみかえ |
説明 |
二つ以上の形質に関して,遺伝子型(genotype)が異なる両親の遺伝物質が交配などにより一つの個体に持ち込まれたとき,いずれの親にも見られなかった新しい遺伝子(gene)の組合わせを持った子孫が,突然変異(mutation)によらずに生じること.すなわち,同一染色体(chromosome)上にある遺伝子の組合わせが交叉によって組換えられる現象をいう.また,遺伝子工学的には,2本のDNAが1本に連結されたり,2本が部分的にDNAを交換して,最初とは異なった2本のDNAになるときも組換えということがある. |
英語 |
recombination repair |
日本語 |
組換え修復 |
読み仮名 |
くみかえしゅうふく |
説明 |
複製後修復(post-replication repair)の一つ.DNAに損傷(紫外線によるピリミジン二量体(pyrimidine dimer)など)を持ったまま複製が行われると,損傷部分は複製されずに残る.この空白部分を相同なDNAとの組換えによって補ったあと,部分的なDNA合成により複製を完成する. |
英語 |
closed colony |
日本語 |
クローズドコロニー |
読み仮名 |
くろーずどころにー |
説明 |
実験動物の生産のための繁殖集団の一つ.長期間(マウスやラットでは5年以上)にわたって外部から種親を導入することなく,一定の集団内のみで繁殖させ生産された群.近交系(inbred strain)参照. |
英語 |
cloning |
日本語 |
クローニング |
読み仮名 |
くろーにんぐ |
説明 |
クローン(clone)を得ること.最近では,組換えDNA実験などにおいて,特定DNAを単離すること,もしくは同一DNAのコピーを多数生産することをいう. |
英語 |
clone |
日本語 |
クローン,系統 |
読み仮名 |
くろーん,けいとう |
説明 |
単一細胞に由来する遺伝子の均一な細胞集団.核移植などで生じた遺伝子構成の同一な個体群もクローンという. |
英語 |
chromosome painting |
日本語 |
クロモソームペインティング |
読み仮名 |
くろもそーむぺいんてぃんぐ |
説明 |
特定の染色体をFISH法(fluorecence in situ hybridization (FISH)method)で染め分ける手法. |
英語 |
transformation test |
日本語 |
形質転換試験 |
読み仮名 |
けいしつてんかんしけん |
説明 |
培養細胞に化学物質を作用させて,形態学的変化,細胞機能の変化や悪性化について検出する試験. |
英語 |
strain |
日本語 |
系統 |
読み仮名 |
けいとう |
説明 |
共通の祖先から無性生殖あるいは同系交配により維持されている同じ遺伝特性を持った菌,細胞あるいは動物群.試験の生物材料を示す用語として使用される. |
英語 |
deletion |
日本語 |
欠失 |
読み仮名 |
けっしつ |
説明 |
遺伝子(gene)または染色体(chromosome)の一部が欠落すること. |
英語 |
genome |
日本語 |
ゲノム |
読み仮名 |
げのむ |
説明 |
生物が生命を維持するのに最小限必要な遺伝子(gene)を含む一組の染色体(chromosome).真核生物(eukaryote)では,配偶子(gamete)の持つ半数染色体に含まれる遺伝子全体を意味する.細菌やファージなど原核生物(prokaryote)では,染色体は一つの巨大なDNA(またはRNA)分子で構成されており,その核酸分子がゲノムに相当する. |
英語 |
prototroph |
日本語 |
原栄養体(株) |
読み仮名 |
げんえいようたい(かぶ) |
説明 |
最少培地上で増殖できる栄養的に独立した細胞,個体または系統.一般には野生型(wild type)と同じ意味で用いられる.独立栄養体(autotroph)も同義的に用いられることがある.反義語,栄養要求体(auxotroph). |
英語 |
prokaryote |
日本語 |
原核生物 |
読み仮名 |
げんかくせいぶつ |
説明 |
核膜をもたない状態でDNAが細胞質(cytoplasm)内に存在し,膜成分により囲まれる細胞内小器官(organella)が見られず,分裂装置(mitotic apparatus)も有しない性質をもつ生物の総称.細菌などをさす.反義語,真核生物(eukaryote). |
英語 |
protoplast |
日本語 |
原形質体 |
読み仮名 |
げんけいしつたい |
説明 |
細菌や植物細胞で細胞壁を酵素処理したり,壁の合成を阻害して得られた完全に細胞壁のない細胞.細胞壁が部分的に残っていたり,変形したものをspheroplastという.DNAの形質導入などに用いられる. |
英語 |
meiosis |
日本語 |
減数分裂,成熟分裂,還元分裂 |
読み仮名 |
げんすうぶんれつ,せいじゅくぶんれつ,かんげんぶんれつ |
説明 |
生殖細胞形成のときに起こる分裂.2回の連続した分裂から構成され,その結果染色体数が半減する.減数分裂の経過は第一分裂と第二分裂に分けられる.一般に,第一分裂は体細胞分裂とは著しく異なるので異型(核)分裂ともいう.その前期は染色体の構造と形態からさらに細糸期(leptotene),接合糸期または対合期(zygotene),太糸期(pachytene),複糸期(diplotene),移動期(diakinesis)に細分される.第二分裂は同型(核)分裂で,2本の染色分体が1本ずつ極へ分かれ,全体として染色体数が半減する. |
英語 |
exchange |
日本語 |
交換 |
読み仮名 |
こうかん |
説明 |
染色体(chromosome)の構造異常の一つ.染色体の二ヶ所以上の切断部分で相互交換を起こすことにより生じる.染色体型(交換)と染色分体型(交換)の二つに分けられる. |
英語 |
homeostasis |
日本語 |
恒常性,ホメオスタシス |
読み仮名 |
こうじょうせい,ほめおすたしす |
説明 |
生体がその置かれている外的,内的環境の変化に応じ,その形態的あるいは生理的状態を安定な範囲内に保持することによって,個体としての生存を維持すること,生命の一般的原則としてW. B. Cannon博士(1929)により提唱された用語. |
英語 |
enzyme induction |
日本語 |
酵素誘導 |
読み仮名 |
こうそゆうどう |
説明 |
動物やヒトにある種の化学物質を投与すると,薬物代謝に必要な酵素群(チトクロームP-450などの薬物代謝酵素(drug metabolizing enzyme))の合成速度が高まり,酵素活性が増加する現象.誘導を引き起こす物質を誘導物質(inducer)という. |
英語 |
hyperdiploid |
日本語 |
高二倍体 |
読み仮名 |
こうにばいたい |
説明 |
正常二倍体(diploid)よりも染色体(chromosome)数が1?数本多い細胞または個体. |
英語 |
mating type |
日本語 |
交配型,接合型 |
読み仮名 |
こうはいがた,せつごうがた |
説明 |
菌類あるいは単細胞生物などの下等生物における,接合現象の有無による系統の分類形式.下等生物では,高等生物のように雌雄の表現形(phenotype)で性の区別ができないため,交配型を使う.異なる系統に属する細胞間で交配が行われ,有性生殖の過程がみられた場合,二つの系統は違う交配型に属するとして区別される. |
英語 |
antimutagen |
日本語 |
抗変異原 |
読み仮名 |
こうへんいげん |
説明 |
変異原(mutagen)の作用を抑制する化合物のなかで,突然変異(mutation)の生成過程において細胞の機能に作用し,ある特定の変異原の作用を減弱させる化合物.変異原不活化物質(desmutagen)参照. |
英語 |
codon |
日本語 |
コドン |
読み仮名 |
こどん |
説明 |
遺伝暗号(genetic code)の最小単位.核酸を構成する塩基ヌクレオチド(nucleotide)は4種類あり,そのうち3個の隣接したヌクレオチドのことをトリプレット(triplet)といい,これがアミノ酸を規定する.このトリプレットのことをコドンという.コドンは43=64あり,そのうち61種類は特定のアミノ酸暗号,3種類はナンセンスコドン(nonsense codon)といわれ遺伝情報の読み終わり暗号となっている. |
英語 |
tautomerism |
日本語 |
互変異性 |
読み仮名 |
ごへんいせい |
説明 |
核酸の各塩基は分子内で電子と陽子の配置換えによって,二つの構造状態をとりうる.この性質のことをいう. |
英語 |
comet assay |
日本語 |
コメット法 |
読み仮名 |
こめっとほう |
説明 |
single cell gel electrophoresis (SCG) assay参照. |
英語 |
Golgi apparatus |
日本語 |
ゴルジ体 |
読み仮名 |
ごるじたい |
説明 |
細胞小器官(organelle)の一つ,二重膜に包まれたいくつかの胞嚢からなる.ゴルジ体は分泌細胞で特に発達しており,生産された特定物質の集積,濃縮,および貯蔵の場と考えられている. |
英語 |
colony |
日本語 |
コロニー |
読み仮名 |
ころにー |
説明 |
細菌などの微生物や動植物の培養細胞を適度に希釈して寒天平板上に接種したとき,1または数個の細胞が増殖して形成する細胞の集団. |
英語 |
teratogen |
日本語 |
催奇性物質,催奇形物質 |
読み仮名 |
さいきせいぶっしつ,さいきけいぶっしつ |
説明 |
発生中の胎児(胚)に作用して奇形を生じさせる物質の総称. |
英語 |
ultimate mutagen |
日本語 |
最終変異原 終変異原 |
読み仮名 |
さいしゅうへんいげん しゅうへんいげん |
説明 |
前駆型変異原(promutagen)が代謝を受けて変異原活性を持つようになった物質.代謝活性化(metabolic activation)参照. |
英語 |
minimum essential medium (MEM) |
日本語 |
最少必要(須)培地 |
読み仮名 |
さいしょうひつよう(す)ばいち |
説明 |
培養細胞が増殖するのに必要な化学成分を含む培地.Eagle's MEMが有名である. |
英語 |
maximum tolerated dose |
日本語 |
最大耐量 |
読み仮名 |
さいだいたいりょう |
説明 |
毒性試験における被験物質の用量を表現するもので,最大耐量とは,一般的に最小致死量に近い用量と考えられる.マウスを用いた小核試験(micronucleus test)では,この他,骨髄細胞の増殖抑制により小核(micronucleus)の観察が不可能になる一歩手前の量としても理解されている.個々の試験目的,試験内容により,最大耐量の考え方も異なるといえる. |
英語 |
cytogenetics |
日本語 |
細胞遺伝学 |
読み仮名 |
さいぼういでんがく |
説明 |
染色体(chromosome)の構造や形態,染色体に存在する遺伝子の行動と形質発現など,細胞学的な特徴から遺伝現象を明らかにしようとする遺伝学の一分野.遺伝毒性試験(genotoxicity study)の中でin vitro,in vivo染色体異常試験(chromosome aberration test),小核試験(micronucleus test),および優性致死試験(dominant lethal test)などは細胞遺伝学試験とよばれている. |
英語 |
cell migration |
日本語 |
細胞移動 |
読み仮名 |
さいぼういどう |
説明 |
細胞の自発的および受動的移動.細胞移動の指向性は接触指導(contact guidance),接触阻止(contact inhibition),走化性(chemotaxis),集団圧力(population pressure)などの要因により支配されている.細胞移動は胚発生,感染に対する防御,損傷治癒,がん転移に役割を果たす. |
英語 |
nucleus |
日本語 |
(細胞)核 |
読み仮名 |
さいぼうかく |
説明 |
真核生物(eukaryote)の細胞内に存在する球状体.二重構造の膜で囲まれ,その主要構造成分は染色体(chromosome)である.分裂していない細胞の核は静止核(間期核)とよばれる. |
英語 |
cell junction |
日本語 |
細胞間結合 |
読み仮名 |
さいぼうかんけつごう |
説明 |
細胞間結合はその機能によって,次の三つに分類されている.1)細胞を機械的に結合する接着結合(adhering junction).2)細胞は結合するがその間で分子がもれ出ることのないように封じる不透過結合(impermeable).3)細胞から細胞への小分子の通過を仲介する連絡結合(communicating junction). |
英語 |
cell-cell communication |
日本語 |
細胞間コミュニケーション |
読み仮名 |
さいぼうかんこみゅにけーしょん |
説明 |
細胞間コミュニケーションには三つの方法があると考えられている.1)ある距離を隔てた細胞に化学物質を介してシグナルを伝達する.2)細胞膜に結合したシグナル分子を作り,その分子と物理的に接触している別の細胞に影響を及ぼす.3)ギャップ結合(gap junction)を形成して,異なる細胞同士の細胞質を直接通じ合わせる. |
英語 |
cell transformation |
日本語 |
細胞形質転換 |
読み仮名 |
さいぼうけいしつてんかん |
説明 |
培養細胞が放射線,ウィルス,化学物質などにより,その形態や機能をかえ,腫瘍細胞類似の性質を備えること. |
英語 |
cell hybridization |
日本語 |
細胞雑種形成 |
読み仮名 |
さいぼうざっしゅけいせい |
説明 |
遺伝的に異なる細胞を融合させ,雑種細胞(hybrid cell)を形成させること.細胞融合(cell fusion),雑種(hybrid)参照. |
英語 |
cytoplasm |
日本語 |
細胞質 |
読み仮名 |
さいぼうしつ |
説明 |
細胞を構成する核以外の部分をいう.細胞質基質と多くの細胞小器官(小胞体,ゴルジ体,ミトコンドリア,リソソームなど)で構成されている.細胞質総重量の70%が水,15-20%がタンパクである. |
英語 |
cytoplasmic inheritance |
日本語 |
細胞質遺伝 |
読み仮名 |
さいぼうしついでん |
説明 |
核外遺伝,染色体外遺伝ともよばれ,染色体(chromosome)以外の細胞質(cytoplasm)中に存在する遺伝子による遺伝をいう.細胞質遺伝は原核生物から真核生物まで,広範囲の生物にみられる.ミトコンドリアや葉緑体の遺伝,トウモロコシやコムギの雄性不稔,アカバナの斑入りなどの例がある. |
英語 |
cytokinesis |
日本語 |
細胞質分裂 |
読み仮名 |
さいぼうしつぶんれつ |
説明 |
細胞核の分裂に続いて起こる細胞質(cytoplasm)の分裂. |
英語 |
cell cycle |
日本語 |
細胞周期 |
読み仮名 |
さいぼうしゅうき |
説明 |
細胞分裂(mitosis)が終了して新しい娘細胞が形成されてから,次の分裂が終了するまでの期間をいう.増殖サイクルともよばれ,細胞は個々の周期の繰り返しにより増殖する.細胞周期は,細胞分裂期(mitotic phase,M phase)と分裂間期(interphase)とに分けられ,分裂間期はさらにG1期(DNA合成準備期),S期(DNA合成期),G2期(細胞分裂準備期)に区分される.また,分化しきった組織細胞や,培養条件下において接触阻止(contact inhibition)の状態にある正常細胞などでは,G1期において細胞周期をはずれた静止状態にあるとされ,この時期を便宜上,G0期とよんでいる. |
英語 |
organelle |
日本語 |
細胞小器官 |
読み仮名 |
さいぼうしょうきかん |
説明 |
一定の機能を持つ細胞質内の構造体.ミトコンドリア(mitochondria),葉緑体,リソソーム(lysosome),小胞体,ゴルジ体(Golgi apparatus)など. |
英語 |
cell adhesion |
日本語 |
細胞接着 |
読み仮名 |
さいぼうせっちゃく |
説明 |
細胞同士の接着,細胞と細胞外マトリックスとの接着,細胞と培養容器の壁面への接着などのことをさす.試験管内で培養された細胞は,培養容器の壁に接着して増殖する場合が多い. |
英語 |
cell proliferation |
日本語 |
細胞増殖 |
読み仮名 |
さいぼうぞうしょく |
説明 |
細胞が分裂して娘細胞を作り続けること.細胞増殖を測定する方法として血球計算盤を用いた細胞数計数法,MTT法,ニュートラルレッド法,細胞密度測定法,BrdU取り込み法,3H-thymidine取り込み法,コロニー形成法などがある.これらの各方法は被験物質による細胞増殖の阻害を調べるためにも有用である. |
英語 |
foci |
日本語 |
細胞増殖巣 |
読み仮名 |
さいぼうぞうしょくそう |
説明 |
Focusの複数,正常な形態の細胞集団の中にみられる形態の異なる細胞増殖巣(集団) |
英語 |
cytostatic |
日本語 |
細胞増殖抑制(の) |
読み仮名 |
さいぼうぞうしょくよくせい(の) |
説明 |
細胞増殖(cell proliferation)を抑える作用.あるいは抑えられた状態.また,このような作用を有する化学物質を示すこともある. |
英語 |
autolysis |
日本語 |
細胞の自己融解 |
読み仮名 |
さいぼうのじこゆうかい |
説明 |
細胞内のリソソーム(lysosome)などに存在する酵素により細胞が消化,融解すること. |
英語 |
cell bank |
日本語 |
細胞バンク |
読み仮名 |
さいぼうばんく |
説明 |
細胞の保存,品質管理を行う機関.原則として研究者や企業への細胞の分譲を行う.日本では厚生労働省などに細胞バンクがある. |
英語 |
mitosis |
日本語 |
細胞分裂 |
読み仮名 |
さいぼうぶんれつ |
説明 |
主に体細胞でみられ,紡錘糸(spindle fiber)による染色分体(chromatid)の移動を伴う細胞分裂.染色体(chromosome)の行動と形態より,分裂前期(prophase),分裂前中期(prometaphase),分裂中期(metaphase),分裂後期(anaphase),および分裂終期(telophase)に分けられる. 細胞周期(cell cycle)参照. |
英語 |
mitotic arrest |
日本語 |
細胞分裂停止 |
読み仮名 |
さいぼうぶんれつていし |
説明 |
分裂中期停止(metaphase arrest)と同義. |
英語 |
cell fusion |
日本語 |
細胞融合 |
読み仮名 |
さいぼうゆうごう |
説明 |
2個以上の細胞が融合し,単一の細胞膜で包まれた状態になること.融合した細胞ではその後,核も融合する場合がある. |
英語 |
hybrid |
日本語 |
雑種 |
読み仮名 |
ざっしゅ |
説明 |
遺伝的には,ある遺伝子座(locus)に関するヘテロ(異型)接合体(zygote)のこと.一般には,遺伝的に異なる系統間,品種間または属間の交配によって生じた個体およびその子孫をさす.また,遺伝的構成の異なる細胞の合体や遺伝物質の交換によって生じた細胞をいうこともある.このような雑種細胞(hybrid cell)の中には,分裂能力を持ち,長期間の培養が可能なものがあり,特定遺伝子(gene)の染色体(chromosome)上の位置および遺伝子発現の制御機構を調べるため,遺伝工学の手法の一つとして用いられる.モノクローナル抗体作製に用いられるハイブリドーマ(hybridoma)は雑種細胞の一種である. |
英語 |
satellite DNA |
日本語 |
サテライトDNA |
読み仮名 |
さてらいとでぃーえぬえー |
説明 |
細胞から抽出したDNAをCsCl中で平衡密度匂配遠心すると,特定の密度のところに,GC(グアニン,シトシン)含量に応じたバンドを形成する.このとき,主要バンドの他に現れる小さなバンドをサテライトDNAとよぶ.サテライトDNAにはプラスミド(plasmid)DNAの他に,特異的なGC含量のDNA断片が含まれる場合もある.広義には,染色体(chromosome)DNAと独立に存在する小型のDNAのことを示す. |
英語 |
Salmonella/microsome assay |
日本語 |
サルモネラミクロソームアッセイ |
読み仮名 |
さるもねらみくろそーむあっせい |
説明 |
エームス試験(Ames test)と同じ意味で用いられている.肝ミクロソームによる代謝活性化(metabolic activation)系を加えたネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)による復帰突然変異(reverse mutation)試験. |
英語 |
trisomy |
日本語 |
三染色体,トリソミー |
読み仮名 |
さんせんしょくたい,とりそみー |
説明 |
染色体(chromosome)の数的異常(aneuploidy)の一種.染色体対にもう1本追加され相同染色体が3本となる異常.染色体の不分離などにより生じる.ヒトでは第21染色体のトリソミーがDown症候群として知られている. |
英語 |
triploid |
日本語 |
三倍体(triploidy 三倍性) |
読み仮名 |
さんばいたい(さんばいせい) |
説明 |
基本数(n)の3倍(3n)の染色体(chromosome)を持つ細胞または個体をいう.倍数体(polyploid)の一種である. |
英語 |
triradial |
日本語 |
三放射状(染色体) |
読み仮名 |
さんほうしゃじょう(せんしょくたい) |
説明 |
染色分体(chromatid)型異常の中の染色分体交換の一つ.染色体間交換(interchange)参照. |
英語 |
C-mitosis |
日本語 |
C-細胞分裂 |
読み仮名 |
しーさいぼうぶんれつ |
説明 |
Colchicine mitosisの略語.コルヒチンなどの作用によって紡錘体の機能の一部またはすべてが阻害された細胞分裂.紡錘体の形成が不完全か,またはまったく形成されないため,染色体(chromosome)は極に移動できず,細胞内に散在したまま収縮していく.また,動原体(centromere)部位が連結した状態であればX字型の対合(C-pair)となり,動原体が分離していればスキー型(ski-pair)となる. |
英語 |
C-terminus |
日本語 |
C末端 |
読み仮名 |
しーまったん |
説明 |
タンパクまたはペプチド鎖で遊離のα-カルボキシル基(-COOH)のある方の末端.またはそのアミノ酸残基.N末端(N-terminus)参照. |
英語 |
xeroderma pigmentosum |
日本語 |
色素性乾皮症 |
読み仮名 |
しきそせいかんぴしょう |
説明 |
除去修復(excision repair)能に欠陥があり,日光や紫外線により皮膚がんを多発する遺伝性疾患.多くのサブタイプ(相補性群)のあることが知られている. |
英語 |
tetrad analysis |
日本語 |
四分子分析 |
読み仮名 |
しぶんしぶんせき |
説明 |
酵母やアカパンカビのように,減数分裂(meiosis)によって生じる4種の半数性細胞(四分子)を用いた遺伝子分析の手法.対立遺伝子(allele)の分配の仕組みから,他の遺伝子(gene)との連鎖距離を解析する.これにより,ある表現型(phenotype)が単独の変異によるものか,複数の変異によるものかを知ることができるし,さらに変異の種類も特定することができる. |
英語 |
chromatid tetrad |
日本語 |
四分染色分体 |
読み仮名 |
しぶんせんしょくぶんたい |
説明 |
減数分裂(meiosis)において二価染色体(bivalent chromosome)を形成する2本の染色体はそれぞれ2本の染色分体に縦裂し,合せて4本の染色分体から成っている状態. |
英語 |
sister chromatid exchange,SCE |
日本語 |
姉妹染色分体交換 |
読み仮名 |
しまいせんしょくぶんたいこうかん |
説明 |
姉妹染色分体(chromatid)の部分的な交換(exchange,2本の姉妹染色分体の間で同じ部位が入れ替わること).これを利用して,遺伝毒性(genotoxicity)を検出する方法がある.SCEは,染色体(chromosome)の構造異常とは異なる現象である. |
英語 |
termination codon |
日本語 |
終止コドン,終結コドン |
読み仮名 |
しゅうしこどん,しゅうけつこどん |
説明 |
コドン(codon)のうち,対応するアミノ酸の無いコドンのこと.ここでペプチドの合成が停止する.ナンセンスコドン(nonsense codon)ともよばれている.ナンセンス突然変異(nonsense mutation)参照. |
英語 |
heterotroph |
日本語 |
従属栄養体 |
読み仮名 |
じゅうぞくえいようたい |
説明 |
有機化合物を摂取して生存(増殖)する生物をさす.反義語, 独立栄養体(autotroph) |
英語 |
repair |
日本語 |
修復 |
読み仮名 |
しゅうふく |
説明 |
放射線や化学物質の暴露により生じたDNAの損傷が,修復酵素によって正常な状態に戻ること. |
英語 |
repair replication |
日本語 |
修復複製 |
読み仮名 |
しゅうふくふくせい |
説明 |
放射線などによって生じた二重鎖DNA上の傷害が,修復酵素系の働きで切り取り除去された後,もう一方の正常な鎖を鋳型としてDNAを合成する過程.除去修復(excision repair)参照. |
英語 |
host-madiated assay |
日本語 |
宿主経由試験 |
読み仮名 |
しゅくしゅけいゆしけん |
説明 |
宿主動物の腹腔内に微生物を注入した後,被験物質を投与し,回収した微生物の突然変異頻度(mutation frequency)を調べることにより,哺乳類の代謝物の突然変異誘発(mutagenesis)性を評価する試験. |
英語 |
host-cell reactivation |
日本語 |
宿主細胞回復 |
読み仮名 |
しゅくしゅさいぼうかいふく |
説明 |
ウイルスの受けたDNA障害が宿主細胞の修復(repair)系により修復され,もとのDNAに回復する現象. |
英語 |
lesion |
日本語 |
障害 |
読み仮名 |
しょうがい |
説明 |
DNAあるいは染色体(chromosome)への傷害.DNAの主な傷害として一本鎖切断,二本鎖切断,ピリミジン二量体(pyrimidine dimer)の形成,架橋(closslink)の形成,付加体(adduct)や挿入(intercalation)などが知られている. |
英語 |
micronucleus |
日本語 |
小核 |
読み仮名 |
しょうかく |
説明 |
染色体(chromosome)の構造異常または分裂装置(mitotic apparatus)の損傷により,細胞分裂(mitosis)後に細胞質(cytoplasm)中に取り残された染色体断片,あるいは1~数本の染色体に由来する小さな核. |
英語 |
micronucleus tesu |
日本語 |
小核試験 |
読み仮名 |
しょうかくしけん |
説明 |
小核(micronucleus)の誘発を検出する試験.通常,げっ歯類の骨髄塗抹標本を観察して,小核を有する幼若赤血球の出現頻度より,被験物質の染色体異常誘発性を調べる.最近では末梢血も小核試験用に用いられる. |
英語 |
Drosophila spot test |
日本語 |
ショウジョウバエを用いるスポットテスト |
読み仮名 |
しょうじょうばえをもちいるすぽっとてすと |
説明 |
ショウジョウバエを用いた体細胞突然変異(mutation)検出系.幼虫期に検体処理をすることにより,幼虫体内で活発に細胞分裂を繰り返す成虫原基に生じた突然変異を成虫体表面で検出する方法.ショウジョウバエの伴性劣性致死試験法(Drosophila sex linked recessive lethal test) と異なり,試験期間が1世代と比較的短く,生殖細胞ではなく体細胞に起こる突然変異を検出する特徴がある.成虫原基に生じた突然変異細胞は分裂し,識別可能な表現型を示した変異細胞群(スポット)を形成する.代表的な試験として,眼色スポットテスト(eye color spot test)と翅毛スポットテスト(wing hair spot test)がある. |
英語 |
Drosophila DNA repair test |
日本語 |
ショウジョウバエを用いるDNA修復試験 |
読み仮名 |
しょうじょうばえをもちいるでぃーえぬえーしゅうふくしけん |
説明 |
ショウジョウバエのDNA修復欠損株が変異原(mutagen)に対して高い致死感受性を示す事実を利用した検出系.修復能欠損X染色体系統を用いた場合,除去修復(excision repair)能欠損変異,複製後修復能欠損変異を有する雄と,正常な修復系を持つ雌が混在した幼虫集団に検体を投与し,成虫となった段階で性比を算出する.自然状態では性比が1付近に安定しているが,検体がDNA損傷性を有すると性比は1よりも低くなる. |
英語 |
Drosophila sex linked recessive lethal test |
日本語 |
ショウジョウバエを用いる伴性劣性致死試験 |
読み仮名 |
しょうじょうばえをもちいるはんせいれっせいちししけん |
説明 |
ショウジョウバエで生殖細胞の突然変異(mutation)を検出する試験系.検体処理によってX染色体に致死性の劣性突然変異が生じた場合,野生型(wild type)の表現系を持つ雄はF2に出現しないので,性比を調べることにより検出できる.検体処理した野生株の雄(赤色,丸眼)とBaseとよばれるX染色体のホモ接合の雌(あんず色,棒状眼)の交配により生じたF1について,雌(赤色,腎臓型眼)1匹に対し2~3匹の雄(あんず色,棒状眼)を交配させる.Base染色体の持つ複雑な逆位のためF1の雌における減数分裂(meiosis)において組換えは起きず,この結果得られたF2の雄のおよそ半数は,野生型の雄のX染色体をそのまま受け継いでいるので,発生の途中で死亡する. |
英語 |
autosome |
日本語 |
常染色体 |
読み仮名 |
じょうせんしょくたい |
説明 |
性染色体(sex-chromosome)以外の染色体の総称.染色体(chromosome)参照. |
英語 |
top agar |
日本語 |
上層寒天 |
読み仮名 |
じょうそうかんてん |
説明 |
主にシャーレを用いた細菌の培養において,下層の寒天平板上に重層した軟寒天培地(soft agar)のこと.菌を寒天平板に均一にまいたり,下層とは組成の異なった軟寒天培地を用いることにより,細菌の分裂を数回促うために用いる. |
英語 |
epithelial cell |
日本語 |
上皮性細胞 |
読み仮名 |
じょうひせいさいぼう |
説明 |
動物の体の内外すべての表層を構成する細胞. |
英語 |
vesicle |
日本語 |
小胞,小嚢 |
読み仮名 |
しょうほう,しょうのう |
説明 |
細胞膜あるいは細胞小器官(organella)の一部から作られ,液相を内包し閉じた膜構造をした小球状のもの.細胞が外界から物質を取り入れるエンドサイトーシスや,外界へ排泄するエキソサイトーシスの時にもできるので,その役割から分泌小胞,輸送小胞ともよばれている. |
英語 |
excision repair |
日本語 |
除去修復 |
読み仮名 |
じょきょしゅうふく |
説明 |
変異原(mutagen)により生じたDNA上の傷を修復(repair)する機構の一つ.DNA上の損傷部位(紫外線により生じるピリミジン二量体(pyrimidine dimer)など)の近くにエンドヌクレアーゼ(endonuclease)による一本鎖の切れ目が入り,エクソヌクレアーゼにより損傷部位(二量体など)が除かれる.その後に,DNAポリメラーゼの働きにより,無傷のDNA鎖を鋳型にして合成され,DNAリガーゼにより新旧の鎖が連結されて修復は完了する.大腸菌(Escherichia coli)などでは除去修復(excision repair)能を欠損した変異株が,突然変異(mutation)の実験によく用いられる.また,ヒトでは色素性乾皮症(xeroderma pigmentosum)がこの修復能を欠いている. |
英語 |
phytohemagglutinin(PHA) |
日本語 |
植物性血球凝集素 |
読み仮名 |
しょくぶつせいけっきゅうぎょうしゅうそ |
説明 |
インゲンマメ属のゴガツササゲ(Phaseolus vulgaris)などから抽出されるムコタンパク質の一種.赤血球凝集作用と共に,リンパ球(主としてT細胞)の幼若化と細胞分裂(mitosis)を促進する作用がある.PHAはヒトの末梢血リンパ球培養に用いられる.分裂誘発剤(mitogen)参照 |
英語 |
primary culture |
日本語 |
初代培養 |
読み仮名 |
しょだいばいよう |
説明 |
生体内の組織または臓器から分離した直後の細胞を用いて初めて培養を行うこと.このような細胞や組織はin vitroの条件下でも生体内機能を保持していることが多い.初代培養と対比する用語として継代培養がある. |
英語 |
eukaryote |
日本語 |
真核生物 |
読み仮名 |
しんかくせいぶつ |
説明 |
核膜(nuclear membrane)により細胞質(cytoplasm)から隔離された核(nucleus)を持つ生物の総称. 反義語, 原核生物(prokaryote). |
英語 |
euchromatin |
日本語 |
真正染色質 |
読み仮名 |
しんせいせんしょくしつ |
説明 |
染色質(chlomatin)は細胞分裂期(mitotic phase)に凝集し、高次構造体としての染色体(chromosome)の形態をとり、間期(interphase)から分裂前期(prophase)にかけては核内に分散している.このとき,脱凝縮して伸展した状態になる染色体部分のこと。間期での転写活性が高く,DNA分解酵素(核酸分解酵素)の作用を受けやすい.異質染色質(heterochromatin)と同じDNA-ヒストン比を示すがより多くの酸性タンパクを含む.反義語, 異質染色質(heterochromatin). |
英語 |
thin lawn |
日本語 |
シンローン |
読み仮名 |
しんろーん |
説明 |
細菌を用いる復帰突然変異(reverse mutation)試験において,最小グルコース寒天平板上で菌の生育が悪い状態を示す.抗菌性あるいは殺菌性の被験物質を用いた場合に生じる. |
英語 |
numerical aberration |
日本語 |
数的異常 |
読み仮名 |
すうてきいじょう |
説明 |
染色体(chromosome)異常の分類の一つで染色体の数の変化をいう.数的異常にはaneuploidy(異数性)とpolyploidy(倍数性)がある.前者は染色体の数が1~数本増加または減少するもので,後者は染色体基本数(n)が整数倍化する現象をいう. |
英語 |
spot test |
日本語 |
スポットテスト |
読み仮名 |
すぽっとてすと |
説明 |
In vivoで体細胞突然変異(mutation)を検出するマウスの試験.毛色スポットテストともいう.毛色の遺伝子座(locus)のいくつかについてホモ接合体の雌と野性型(wild type)の雄とを交配し,妊娠中期に被験物質を投与し,生まれたF1について毛の変色班(coat color spot)の出現を調べる. |
英語 |
life cycle |
日本語 |
生活環 |
読み仮名 |
せいかつかん |
説明 |
生物の生活史(生まれてから死ぬまで)を生殖細胞(germ cell)を中心に,世代と核相の交代,受精と減数分裂(meiosis),体と生殖細胞の発達段階など,生活段階の全ての過程の繰り返し.多くの植物や一部の動物では,生活環に規則的な世代交代がみられる. |
英語 |
restriction endonuclease |
日本語 |
制限エンドヌクレアーゼ |
読み仮名 |
せいげんえんどぬくれあーぜ |
説明 |
DNAの特定な塩基配列を認識して二本鎖を切断するエンドヌクレアーゼ(endonuclease).制限酵素ともいう.細菌は特有なエンドヌクレアーゼを持ち,これがウイルスのような外来のDNAを切断排除する自己防御機能の一つとして働く.自己のDNAは塩基をメチル化酵素で修飾されるため切断から保護される.この性質を利用したDNAの切断法が遺伝子工学でよく用いられる. |
英語 |
spermatogenesis |
日本語 |
精子形成 |
読み仮名 |
せいしけいせい |
説明 |
後生動物で精原細胞から精子が形成される過程をいう.始原生殖細胞(primodial germ cells)が精巣原基とは異なる場所で形成された後,分化しつつある精巣中に移動し,精原幹細胞(spermatogonial stem cells)を生じる.精原幹細胞は細胞分裂(mitosis)を繰り返し精原細胞(spermatogonia)となり,さらに分裂して第一精母細胞(primary spermatocytes)をへて,減数分裂(meiosis)の第一分裂によって,第二精母細胞(secondary spermatocytes)となり,引き続く第二分裂によって染色体数が半減した精子細胞(spermatids)となる.同時に,細胞の容積が著しく縮小する.精子細胞は一連の複雑な構造変化を起こし,細胞質のかなりの部分を放出し,精子に分化する. |
英語 |
gonium (pl. gonia) |
日本語 |
生殖原細胞 |
読み仮名 |
せいしょくげんさいぼう |
説明 |
精原細胞および卵原細胞の総称.精子形成(spermatogenesis),卵子形成(oogenesis)参照. |
英語 |
germ cell |
日本語 |
生殖細胞,性細胞 |
読み仮名 |
せいしょくさいぼう,せいさいぼう |
説明 |
生殖のため,特別に分化した配偶子(gamete),すなわち,卵子と精子を形成する細胞の総称.卵子形成(oogenesis), 精子形成(spermatogenesis)参照. |
英語 |
gonad |
日本語 |
生殖腺,生殖巣,性腺 |
読み仮名 |
せいしょくせん,せいしょくそう,せいせん |
説明 |
性細胞(germ cell)を形成する器官,雄の精巣および雌の卵巣. |
英語 |
sex-chromosome |
日本語 |
性染色体 |
読み仮名 |
せいせんしょくたい |
説明 |
真核生物(eukaryote)の性を決定する染色体(chromosome).性染色体の形態から雌が同型,雄が異型の染色体をもつとき,雌雄双方に存在する同型の染色体をX染色体,雄のみにみられる染色体をY染色体とよぶ.この型の性決定様式をふつうXY型,雄でYを欠く性決定様式をXO型とよぶ.逆に,雌が異型,雄が同型の場合はZW型といい,雌の性染色体構成をZW,雄のそれをZZと表す.哺乳類では雌がXX,雄がXYの性染色体構成をもつ. |
英語 |
normochromatic erythrocyte |
日本語 |
正染性赤血球 |
読み仮名 |
せいせんせいせっけっきゅう |
説明 |
成熟赤血球をいう.末梢血の塗抹乾燥標本にギムザ染色を施すと,成熟赤血球は桃色に染色される.アクリジンオレンジ染色(acridine orange staining)では,この血球には蛍光が見られない.多染性赤血球(polychromatic erythrocyte)参照 |
英語 |
euploid |
日本語 |
正倍数体 |
読み仮名 |
せいばいすうたい |
説明 |
その種に固有な基本染色体数(n)の正数倍である細胞または固体.二倍体(diploid), 倍数体(polyploid)参照. |
英語 |
generation time |
日本語 |
世代時間 |
読み仮名 |
せだいじかん |
説明 |
細胞または細菌が分裂してから次の分裂までの平均時間.または,一個体が増殖して二個体になるまでに要する時間. |
英語 |
zygote |
日本語 |
接合体 |
読み仮名 |
せつごうたい |
説明 |
2種類の配偶子(gamete)が接合してできた細胞.真核生物(eukaryote)では精子と卵子が受精してできる受精卵,またはこれから発生した個体をいう. |
英語 |
contact inhibition |
日本語 |
接触阻止 |
読み仮名 |
せっしょくそし |
説明 |
培養細胞が増殖し,密度が増してそれ以上増殖しなくなる現象.培養器壁面に付着して増殖する正常細胞は,増殖して互いに触れ合うようになると,運動を停止したり,それ以上増殖しなくなる. |
英語 |
fibroblast |
日本語 |
線維芽細胞,繊維芽細胞 |
読み仮名 |
せんいがさいぼう |
説明 |
結合組織の主構成細胞である線維細胞の幼弱型.通常,細胞は紡錘形で,核(nucleus)は長楕円形を呈し,結合組織に散在する.組織培養が比較的容易であり,多くの線維芽細胞由来の細胞株がある. |
英語 |
gyratory incubator |
日本語 |
旋回培養器 |
読み仮名 |
せんかいばいようき |
説明 |
細胞の培養に用いる培養器の一種 |
英語 |
procarcinogen |
日本語 |
前駆型がん原物質 |
読み仮名 |
ぜんくがたがんげんぶっしつ |
説明 |
直接にはがん原性(carcinogenicity)をもたないが,生体内で代謝を受けて初めてがん原性をもつ物質. |
英語 |
promutagen |
日本語 |
前駆型変異原 |
読み仮名 |
ぜんくがたへんいげん |
説明 |
直接には変異原性(mutagenicity)をもたないが,生体内で代謝を受けて初めて変異原性をもつ物質.代謝活性化(metabolic activation), 最終変異原,終変異原(ultimate mutagen)参照. |
英語 |
chromonema |
日本語 |
染色糸 |
読み仮名 |
せんしょくし |
説明 |
細胞分裂(mitosis)中期の染色体(chromosome),染色分体(chromatid)や間期核内において,光学顕微鏡により識別可能な最も細い糸状構造で,らせん糸,核糸ともいう.電子顕微鏡による観察から,染色質基本繊維が幾重にも折り畳まれて構成されているものと考えられている. |
英語 |
chromatin |
日本語 |
染色質 |
読み仮名 |
せんしょくしつ |
説明 |
真核生物(eukaryote)の核内に存在し,塩基性色素で染色される物質の総称.DNA-塩基性タンパク(ヒストン)複合体を主成分とし,非ヒストンタンパクおよび少量のRNAを含む複合体をいう.染色質は細胞周期(cell cycle)の各期でその構造は著しく変化し,分裂期では高次構造体としての染色体の形態をとり,間期には核内に分散して存在する.真正染色質(euchromatin),異質染色質(heterochromatin)参照. |
英語 |
chromosome |
日本語 |
染色体 |
読み仮名 |
せんしょくたい |
説明 |
真核生物(eukaryote)の細胞核内に存在する主要構成体.細胞分裂(mitosis)中期に塩基性色素により濃染され,光学顕微鏡による形態観察が可能となる.染色体は動原体(centromere)の位置により種々の形態を示すが,生物の種により,固有の数と形態をもつ.体細胞は常染色体(autosome)と性染色体(sex-chromosome)より成り,常染色体は同一形態の対をなす染色体(相同染色体,homologous chromosome)から成っている.これらの一方は雌親に,他方は雄親に由来する.機能的には遺伝子の保存と発現を担い,その構成物質はDNAと塩基性タンパクのヒストン(histone),および非ヒストンタンパクを主成分とする.細菌のゲノム(genome)DNA,場合によってはウィルスや細胞小器官のDNAについても染色体ということがある. |
英語 |
clastogen |
日本語 |
染色体(構造)異常誘発物質,染色体切断物質 |
読み仮名 |
せんしょくたい(こうぞう)いじょうゆうはつぶっしつ,せんしょくたいせつだんぶっしつ |
説明 |
染色体(chromosome)の構造異常を誘発する物質の総称.もともとは,染色体切断(chromosome break)を誘発する物質の意味で用いられた. |
英語 |
chromosome aberration test |
日本語 |
染色体異常試験 |
読み仮名 |
せんしょくたいいじょうしけん |
説明 |
被験物質で処理した細胞の分裂中期における染色体(chromosome)異常を観察する試験,げっ歯類に被験物質を投与し,骨髄細胞あるいは精原細胞などで染色体異常を観察するin vivo試験,哺乳類の培養細胞を用いるin vitro試験などがある.In vitro試験では,代謝活性化(metabolic activation)酵素系を組み込んだ方法も行われている.細胞遺伝学(cytogenetics)参照. |
英語 |
chromosome gap |
日本語 |
染色体型ギャップ |
読み仮名 |
せんしょくたいがたぎゃっぷ |
説明 |
ギャップ(gap)参照. |
英語 |
interchange |
日本語 |
染色体間交換 |
読み仮名 |
せんしょくたいかんこうかん |
説明 |
二本以上の染色体(chromosome)間で生じた交換(exchange)型異常.染色体型交換として,二動原体染色体(dicentric chromosome),相互転座(reciprocal translocation)などがある.染色分体型交換には三放射状(triradial),四放射状(quadriradial)などがある. |
英語 |
chromosome bridge |
日本語 |
染色体橋 |
読み仮名 |
せんしょくたいきょう |
説明 |
細胞分裂(mitosis)後期にみられる異常の一つ.染色体(chromosome)が動原体(centromere)を2個持つときに起こり,分裂後期に二つの動原体が別々の極に移行するのに伴い,染色体が両極にまたがって引っ張られた形をとる状態.染色分体の片方にのみ生じた場合を染色分体橋(chromatid bridge)という. |
英語 |
chiasma |
日本語 |
染色体交叉,キアズマ |
読み仮名 |
せんしょくたいこうさ,きあずま |
説明 |
減数分裂(meiosis)前期の複糸期(diplotene)から第一分裂中期にかけて,対合した相同染色体が,4本の染色分体(chromatid)の間で相手を交換する部位.この部位はX字型を示す.染色分体は一箇所で4本の内の2本ずつが互いに対合し,隣接キアズマ間にループを作る.これによって,相同染色体間で遺伝子の交換が行われる.キアズマが遺伝的な交叉の結果であると主張するのがキアズマ説である.二価染色体(bivalent chromosome),乗換(crossing over)参照. |
英語 |
pulverization |
日本語 |
(染色体)細粉化 |
読み仮名 |
せんしょくたいさいふんか |
説明 |
染色体細粉化(chromosome pulverization), 未成熟染色体凝集(premature chromosome condensation)参照 |
英語 |
chromosome pulverization |
日本語 |
染色体細粉化 |
読み仮名 |
せんしょくたいさいふんか |
説明 |
一細胞中に分裂期(mitotic phase)と間期(interphase)の核(あるいは染色体)とが共存することにより,間期核の染色質(chromatin)が凝集する現象.凝集像は細胞周期(cell cycle)によって異なり,染色質はG1期では1本の細長い構造を呈し,S期には点状あるいは霧状に分散し,典型的な細粉化像を呈す.G2期には細長く伸びた2本の染色分体となる.未成熟染色体凝集(premature chromosome condensation)参照. |
英語 |
chromosome break |
日本語 |
染色体切断 |
読み仮名 |
せんしょくたいせつだん |
説明 |
染色体(chromosome)構造異常の一つ.姉妹染色分体の同一部位で切断が生じ,断片が染色体の長軸方向からずれているか,著しく離れて観察される状態.染色体切断(choromosome break),同位染色分体切断(isochromatid break)参照. |
英語 |
chromosome set |
日本語 |
染色体セット |
読み仮名 |
せんしょくたいせっと |
説明 |
genomeと同義. |
英語 |
fragmentation |
日本語 |
染色体断片化 |
読み仮名 |
せんしょくたいだんぺんか |
説明 |
染色体(chromosome)の構造異常の一つ.分裂中期(metaphase)の染色体に非常に多くの切断とギャップ(gap)が現れること. |
英語 |
chromosome pairing |
日本語 |
染色体対合 |
読み仮名 |
せんしょくたいついごう |
説明 |
生殖細胞の第一減数分裂(meiosis)前期において,接合糸期(zygotene)には,相同染色体が側面をあわせ並列に並び,両染色体(chromosome)間に安定なシナプトネマ構造(synaptonemal complex)を形成する.この現象を対合とよぶ.続く太糸期(pachytene)では相同染色体間にキアズマ(chiasma)が生じ遺伝子交換が起こる.ショウジョウバエなどの唾液腺染色体のように,体細胞で起こることもある. |
英語 |
non-disjunction |
日本語 |
染色体不分離 |
読み仮名 |
せんしょくたいふぶんり |
説明 |
減数分裂(meiosis)時に,対をなす相同染色体(chromosome)が分離することなく共に同一極に移動すること.体細胞分裂においては,姉妹染色分体(chromatid)が分離することなく両方が同一極に移動すること.異数体(aneuploid)や異数性細胞成因の一つ. |
英語 |
chromatid |
日本語 |
染色分体 |
読み仮名 |
せんしょくぶんたい |
説明 |
細胞分裂(mitosis)前期から中期にかけての形態学的観察において,染色体(chromosome)は2本の構成単位に分かれており,この構成単位を染色分体という. |
英語 |
chromatid gap |
日本語 |
染色分体型ギャップ |
読み仮名 |
せんしょくぶんたいがたぎゃっぷ |
説明 |
染色分体(chromatid)の一部にみられる非染色性部位(achromatic region)をいう.ギャップ(gap)参照. |
英語 |
chromatid bridge |
日本語 |
染色分体橋 |
読み仮名 |
せんしょくぶんたいきょう |
説明 |
染色体橋(choromosome bridge)参照. |
英語 |
chromitid break |
日本語 |
染色分体切断 |
読み仮名 |
せんしょくぶんたいせつだん |
説明 |
染色体構造異常の一つ.一方の染色分体(chromatid)の一部が染色分体の長軸方向からずれて観察される場合,あるいは断片が著しく離れて観察される場合をさす.染色体切断(choromosome break),同位染色分体切断(isochromatid break)参照. |
英語 |
chromatid disjunction |
日本語 |
染色分体分離 |
読み仮名 |
せんしょくぶんたいぶんり |
説明 |
染色分体分離(chromatid segregation)参照. |
英語 |
chromatid segregation |
日本語 |
染色分体分離 |
読み仮名 |
せんしょくぶんたいぶんり |
説明 |
chromatid disjunctionともいう.細胞分裂(mitosis)後期または減数分裂(meiosis)後期に,姉妹染色分体が両極に分かれること. |
英語 |
forward mutation |
日本語 |
前進突然変異,正突然変異 |
読み仮名 |
ぜんしんとつぜんへんい,せいとつぜんへんい |
説明 |
野生型(wild type)より変異型への遺伝子突然変異(mutation).反義語,復帰突然変異(reverse mutation). |
英語 |
reciprocal translocation |
日本語 |
相互転座 |
読み仮名 |
そうごてんざ |
説明 |
染色体(chromosome)型異常の中の染色体間交換(interchange)の一つ.2本の染色体に生じた切断端の相互交換が対称型に,すなわち動原体(centromere)を持った部分と持たない部分との間に交換が行われたものであり,二つの転座(translocation)染色体が形成される. |
英語 |
reciprocal translocation test |
日本語 |
相互転座試験 |
読み仮名 |
そうごてんざしけん |
説明 |
生殖細胞(germ cell)において非相同染色体の間で相互転座(reciprocal translocation)が生じ,子(F1)に伝えられると,相互転座に関し異型接合体となる.F1の生殖細胞では,染色体(chromosome)構成の正常な配偶子(gamete)と不調和な配偶子が生成される.このためF1を正常個体と交配すると,約半数の受精卵が発生途中で死滅する(半不妊).この現象を応用した染色体異常の遺伝的影響を検出する試験. |
英語 |
intercalation |
日本語 |
挿入 |
読み仮名 |
そうにゅう |
説明 |
DNA二重らせんの塩基対と塩基対の間に,類似構造を持つ他の分子が分子間力によってもぐり込むこと.DNAにintercalateする物質として,アクリジンオレンジやエチジウムブロマイドなどの蛍光色素が知られている. |
英語 |
cDNA(complementary DNA) |
日本語 |
相補的DNA |
読み仮名 |
そうほてきでぃーえぬえー |
説明 |
逆転写酵素によってRNAを鋳型にしてつくられるDNA.RNAの塩基配列と相補的な塩基配列を持つので相補的DNAという.真核生物(eukaryote)のメッセンジャーRNA(mRNA)からのcDNAを適当なベクターにつなぎ,大腸菌にクローニング(cloning)するなど,遺伝子工学に利用される.また,レトロウィルスRNAは感染後,細胞内でcDNAを形成し,細胞核のDNAに挿入される. |
英語 |
somatic mutation |
日本語 |
体細胞突然変異 |
読み仮名 |
たいさいぼうとつぜんへんい |
説明 |
生殖細胞(germ cell)以外の体細胞に生じる突然変異(mutation).細胞のがん化に深く関与しており,さらには老化や成人病にも関係していると考えられている. |
英語 |
metabolic activation |
日本語 |
代謝活性化 |
読み仮名 |
たいしゃかっせいか |
説明 |
前駆型変異原(promutagen)が薬物代謝酵素(drug metabolizing enzyme)により変異原(mutagen)に変換されること.通常, in vitro 遺伝毒性試験(genotoxicity test)においては,代謝活性化(metabolic activation)系として,ラットの肝臓ホモジネートの S9 画分(9000×g,10分の遠沈上清)と補酵素から成る S9mix を用いる.最終変異原,終変異原(ultimate mutagen)参照. |
英語 |
metabolic cooperation |
日本語 |
代謝協同 |
読み仮名 |
たいしゃきょうどう |
説明 |
異なる細胞間同士の接触により代謝産物を受け渡して補い合うこと.この作用の阻害を指標とした試験が細胞間代謝協同阻害試験であり,発がんプロモーター(tumor promoter)の検出系として利用されている. |
英語 |
enantiomer effect |
日本語 |
対称体効果 |
読み仮名 |
たいしょうたいこうか |
説明 |
光学活性を持つ化合物において,対称体各々の持つ生理活性が著しく異なること.変異原(mutagen)活性においても,R体とS体とで異なる例が知られている. |
英語 |
Escherichia coli (E. cili) |
日本語 |
大腸菌 |
読み仮名 |
だいちょうきん |
説明 |
Enterobacteriaceaeに属する通性嫌気性のグラム陰性桿菌であり、遺伝学(genetics)の分野では広く用いられている.細菌を用いる復帰突然変異試験(bacterial reverse mutation test)において使用される大腸菌のWP2系(WP2B/r, WP2uvrA, WP2uvrA/pKM101)はトリプトファン要求性の変異株である.DNAのAT塩基対置換(base (pair) substitution)型復帰突然変異(reverse mutation)を検出する系として用いられる.WP2uvrAは遺伝子修復機構に関するuvrA遺伝子(gene)が欠失しており,紫外線感受性を有する.WP2uvrA/pKM101は,さらに薬剤耐性プラスミド(plasmid)pKM101を持つ. |
英語 |
allele |
日本語 |
対立遺伝子 |
読み仮名 |
たいりついでんし |
説明 |
真核生物(eukaryote)の細胞において,ある形質について対をなして存在する遺伝子.優性(dominant)形質をアルファベットの大文字で,劣性(recessive)形質を小文字で表示する. |
英語 |
polychromatic erythrocyte |
日本語 |
多染性赤血球 |
読み仮名 |
たせんせいせっけっきゅう |
説明 |
脱核直後の幼若な赤血球であり,ギムザ染色したときに青みを帯びて見える赤血球を示す.成熟するに従い,RNAは消失し,正染性赤血球(normochromatic erythrocyte,成熟赤血球)となる.アクリジンオレンジ染色(acridine orange staining)ではRNAが橙赤色の蛍光を発する.小核試験(micronucleus test)では,この細胞を観察して小核の出現頻度を調べることが多い. |
英語 |
multistage carcinogenesis |
日本語 |
多段階発がん |
読み仮名 |
ただんかいはつがん |
説明 |
発がん過程には,initiation, promotion, および progression の少なくとも3段階あり,さらに, promotion と progression には数過程を含むといわれている.このように,多くの段階を経て発がんにいたることを多段階発がんという.突然変異(mutation)は主に initiation の段階に関与する.発がんイニシエーター(tumor initiator),発がんプロモーター,発がん促進物質(tumor promotor)参照. |
英語 |
dedifferentiation |
日本語 |
脱分化 |
読み仮名 |
だつぶんか |
説明 |
分化して特有な機能を有していた細胞が,その特徴を失って未分化な外見を呈する現象.退分化ともいう.活発に増殖する植物のカルス,がん化した細胞,培養細胞などにみられる. |
英語 |
tier method |
日本語 |
段階試験法 |
読み仮名 |
だんかいしけんほう |
説明 |
実施する試験および実施条件を段階毎に規定し,各段階での試験結果を基に,次段階の試験に進むかどうかを決定する試験実施方法.バッテリー試験法(battery method)参照. |
英語 |
single cell gel electrophoresis(SCG)assay |
日本語 |
単細胞ゲル電気泳動法,SCG法 |
読み仮名 |
たんさいぼうげるでんきえいどうほう,えすしーじーほう |
説明 |
DNA損傷性を電気泳動により細胞単位で評価する試験法.傷害を受けた核の形状が彗星状を呈するのでcomet assayともいう. |
英語 |
acrocentric chromosome,telocentric chromosome |
日本語 |
端部動原体型染色体 |
読み仮名 |
たんぶどうげんたいがたせんしょくたい |
説明 |
動原体(centromere)が染色体(chromosome)の端部近くにある染色体.中部動原体型染色体(metacentric chromosome)参照. |
英語 |
interstitial deletion |
日本語 |
中間部欠損 |
読み仮名 |
ちゅうかんぶけっそん |
説明 |
染色体(chromosome)の動原体(centromere)を含まない中間部分が欠失すること. |
英語 |
centriole |
日本語 |
中心粒,中心小体 |
読み仮名 |
ちゅうしんりゅう,ちゅうしんしょうたい |
説明 |
細胞小器官の一つ.3個1組の微小管9組からなり,動物細胞では中心小体が紡錘体の形成,染色体(chromosome)の後期運動,分裂溝の形成に密接に関係していると考えられている. |
英語 |
metacentric chromosome |
日本語 |
中部動原体型染色体 |
読み仮名 |
ちゅうぶどうげんたいがたせんしょくたい |
説明 |
中央部に動原体(centromere)が存在する染色体(chromosome).通常,染色体は形態的に中部動原体型,端部動原体型(telocentric あるいは acrocentric),次端部動原体型(subtelocentric),次中部動原体型(submetacentric)の4種の基本形に分けられる.端部動原体型染色体(acrocentric chromosome)参照. |
英語 |
tubulin |
日本語 |
チューブリン |
読み仮名 |
ちゅーぶりん |
説明 |
真核細胞に広く存在する微小管(microtubule)の主要構成タンパク.α-チューブリン(分子量5.7万)とβ-チューブリン(5.3万)が存在する.微小管は細胞分裂(mitosis)における染色体(chromosome)移動にも関与し,チューブリンは分裂阻害剤(mitotic inhibitor,コルヒチン,ビンカアルカロイド,ポドフィロトキシン)と結合する性質がある.紡錘糸(spindle fiber)参照. |
英語 |
supravital staining |
日本語 |
超生体染色 |
読み仮名 |
ちょうせいたいせんしょく |
説明 |
生体から分離した細胞を固定しないで染色する方法.綱赤血球(reticulocyte)の観察のための赤血球の超生体染色法がその例である.色素としては,ブリリアントクレシル青,ニューメチレン青,アクリジンオレンジなどがある. |
英語 |
DNA repair test |
日本語 |
DNA修復試験 |
読み仮名 |
でぃーえぬえーしゅうふくしけん |
説明 |
DNA修復(repair)機能を指標としてDNA損傷性物質を検出する試験方法.枯草菌を用いたレックアッセイ(rec-assay).大腸菌を用いたポルアッセイ(pol-assay).サルモネラ菌を用いたユーエムユー アッセイ (umu assay) .ショウジョウバエを用いたDNA修復試験(Drosophila DNA repair test),また,哺乳類の細胞でのDNA修復合成を測定するUDS試験(unscheduled DNA synthesis test)などがある. |
英語 |
repetitious DNA |
日本語 |
DNAの反復配列 |
読み仮名 |
でぃーえぬえーのはんぷくはいれつ |
説明 |
一定の塩基配列が繰り返し出現するDNAのこと.repetitive DNA,repeated DNAともいう. |
英語 |
deep rough |
日本語 |
ディープラフ |
読み仮名 |
でぃーぷらふ |
説明 |
グラム陰性細菌の細胞外膜に生じる変異の一種.突然変異により細胞壁リポ多糖類の合成ができなくなった変異株では,薬剤の透過性が高まると共に,表面の粗い(deep rough)コロニー(colony)を形成する.エームス試験(Ames test)菌株の中には,薬剤に対する感受性を高めるため,この膜変異(rfa)が導入されている.ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)参照. |
英語 |
hypodiploid |
日本語 |
低二倍体 |
読み仮名 |
ていにばいたい |
説明 |
正常二倍体(diploid)よりも染色体(chromosome)数が1?数本少ない細胞または個体. |
英語 |
translocation |
日本語 |
転座 |
読み仮名 |
てんざ |
説明 |
染色体(chromosome)にみられる構造異常の一つ.染色体の一部が切れて,他の染色体に結合する染色体異常.同じ染色体の他の部分に位置を変えて再結合した場合は転移(shift)という.生化学の分野では,タンパクの生合成におけるポリペプチド(polypeptide)鎖延長反応過程の部分反転(転位)をさすこともある. |
英語 |
point mutation |
日本語 |
点突然変異 |
読み仮名 |
てんとつぜんへんい |
説明 |
一つのコドン(codon)内で完結する遺伝子突然変異(gene mutation)と定義されたが,現在は,遺伝子突然変異と同じ意味で用いられることが多い. |
英語 |
transfection |
日本語 |
トランスフェクション |
読み仮名 |
とあんすふぇくしょん |
説明 |
精製した裸のファージDNA(またはRNA)を受容菌に感染させ,ファージを増殖させること.また,細菌の代わりに,動物の培養細胞の核内に,種々の方法で直接DNAを注入し,染色体の一部として組み込ませることも可能である. |
英語 |
isochromatid break |
日本語 |
同位染色分体切断 |
読み仮名 |
どういせんしょくぶんたいせつだん |
説明 |
姉妹染色分体の,見かけ上相同な部位に観察される切断.外見上は染色体型の切断と区別できない.染色分体切断(chromatid break), 染色体切断(chromosome break)参照. |
英語 |
kinetochore |
日本語 |
動原体 |
読み仮名 |
どうげんたい |
説明 |
centromereと同義 |
英語 |
centromere |
日本語 |
動原体,紡錘糸付着点,着糸点,セントロメア |
読み仮名 |
どうげんたい,ぼうすいしふちゃくてん,ちゃくしてん,せんとろめあ |
説明 |
真核生物(eukaryote)の染色体(chromosome)上の紡錘糸(spindle fiber)が付着する部位.一次狭窄(primary constriction)ともいう.細胞分裂における染色体(chromosome)の分離に主要な役割を果たす.この部分はヘテロクロマチン(heterochromatin)で構成され,C-バンド法などで濃染される.電子顕微鏡による観察では,染色体の軸に平行な3層構造に,紡錘糸が付着している像がみられ,キネトコア(kinetochore)とよび,動原体と同意である. |
英語 |
specific locus test |
日本語 |
特定座位試験 |
読み仮名 |
とくていざいしけん |
説明 |
生殖細胞(germ cell)に誘発された遺伝子突然変異(gene mutation)を検出するためのマウスを用いる試験系.毛色など既知のいくつかの遺伝子座(locus)についてのホモ接合体の雌に被験物質を投与した野生型(wild type)の雄を交配し,F1でのこれらの形質発現から雄の生殖細胞への遺伝子突然変異の誘発性を調べる. |
英語 |
autotroph |
日本語 |
独立栄養体,自己栄養体 |
読み仮名 |
どくりつえいようたい,じこえいようたい |
説明 |
本来,炭酸ガスと無機物から必要な有機化合物を合成できる生物をさす.しかし,炭素源と無機窒素などからなる最少培地で生存(増殖)できる生物個体,細胞,または細菌などの原栄養体(prototroph)と同義的に用いられている.反義語,従属栄養体(heterotroph). |
英語 |
mutation |
日本語 |
突然変異 |
読み仮名 |
とつぜんへんい |
説明 |
ある遺伝形質を司る遺伝子(gene)の変化によって遺伝情報が変わり,変形した形質が子孫や娘細胞に遺伝的に伝えられていくこと.この変化が染色体(chromosome)レベルで生じたものが染色体突然変異である.突然変異は自然に生じる自然突然変異の他に,各種変異原(mutagen)により人為的に誘発される.突然変異を起こした個体や細胞を変異体(mutant)という. |
英語 |
mutation fixation |
日本語 |
突然変異固定 |
読み仮名 |
とつぜんへんいこてい |
説明 |
DNA上に生じた障害や異常が突然変異(mutation)として安定な状体に固定されること. |
英語 |
expression time |
日本語 |
(突然変異)発現時期 |
読み仮名 |
とつぜんへんいはつげんじき |
説明 |
突然変異(mutation)の遺伝的形質(genetic marker)が完全に固定されるまでの時間 |
英語 |
mutation frequency |
日本語 |
突然変異頻度 |
読み仮名 |
とつぜんへんいひんど |
説明 |
集団中の突然変異(mutation)個体,または突然変異細胞が出現する頻度. |
英語 |
mutagenesis |
日本語 |
突然変異誘発 |
読み仮名 |
とつぜんへんいゆうはつ |
説明 |
突然変異が誘発される過程あるいは現象をさす. |
英語 |
mutation rate |
日本語 |
突然変異率 |
読み仮名 |
とつぜんへんいりつ |
説明 |
特定の突然変異(mutation)が世代あたり(または時間当たり)1細胞または1個体に起こる割合. |
英語 |
transition |
日本語 |
トランジッション |
読み仮名 |
とらんじっしょん |
説明 |
プリン(purine)間またはピリミジン(pyrimidine)間で起こるDNAの塩基対置換(base substitution)をいう. |
英語 |
transgenic mouse |
日本語 |
トランスジェニックマウス(遺伝子改変マウス) |
読み仮名 |
とらんすじぇにっくまうす(いでんしかいへんまうす) |
説明 |
外来遺伝子(gene)を受精卵の核内に注入し,染色体(chromosome)に安定的に組込ませたマウス.大腸菌(Escherichia coli)の遺伝子などを組み込んだトランスジェニックマウスがつくられており,in vivoでの遺伝子突然変異(gene mutation)検出系として利用されている. |
英語 |
transduction |
日本語 |
トランスダクション(形質導入) |
読み仮名 |
とらんすだくしょん(けいしつどうにゅう) |
説明 |
供与菌のDNAが,ファージを介して,受容菌に受け渡される機構のこと.供与菌のDNAを結合させたファージDNA,あるいは供与菌のDNAのみを持たせたファージを受容菌に感染させて,その染色体(chromosome)にDNAを取り込ませる. |
英語 |
transversion |
日本語 |
トランスバージョン |
読み仮名 |
とらんすばーじょん |
説明 |
DNA塩基対置換(base substitution)のうち,ピリミジン(pyrimidine)からプリン(purine)へ,またはその逆のプリンからピリミジンへの置換をいう. |
英語 |
phagocytosis |
日本語 |
(貪)食作用 |
読み仮名 |
どんしょくさよう |
説明 |
細胞が外部から固形粒子を取り込む作用.固形物が細胞膜に接触すると,膜の突出あるいは陥入が起こり,固形物を包み込むように細胞膜が融合する.膜に包まれた固形物は細胞内に取り込まれ,ファゴソームとよばれる.やがてリソソーム(lysosome)と合体して消化胞となり,リソソームに含まれる加水分解酵素の作用で分解され,低分子となって細胞質(cytoplasm)内に吸収される. |
英語 |
endogenous genotoxin |
日本語 |
内在性遺伝毒性物質 |
読み仮名 |
ないざいせいいでんどくせいぶっしつ |
説明 |
生体内において生成され,遺伝毒性(genotoxicity)を示す物質,活性酸素はその一例である. |
英語 |
soft agar |
日本語 |
軟寒天 |
読み仮名 |
なんかんてん |
説明 |
寒天平板培地(agar plate)に菌を均一にまくために用いる寒天,または軟寒天培地で,通常の寒天培地より寒天の濃度が低い.また,形質転換細胞の検出のためにも軟寒天培地を用いることがある.上層寒天(top agar)参照. |
英語 |
nonsense mutation |
日本語 |
ナンセンス突然変異 |
読み仮名 |
なんせんすとつぜんへんい |
説明 |
本来いずれかのアミノ酸に対応していたコドン(codon)が,ヌクレオチド(nucleotide)の置換により,どのアミノ酸にも対応しないナンセンス暗号に変わる遺伝子突然変異(gene mutation)をいう.ナンセンス暗号(コドン)には,アンバー(UAG),オーカー(UAA),オパール(UGA)の三つがあり,いずれもポリソーム上で進行しているタンパク質合成を中断させる作用を持ち,終止コドンとよばれる.コドン(codon)参照 |
英語 |
binucleate |
日本語 |
二核性の |
読み仮名 |
にかくせいの |
説明 |
細胞に核が2個存在すること.二核性細胞の誘発化合物としてサイトカラシンBがある. |
英語 |
bivalent chromosome |
日本語 |
二価染色体 |
読み仮名 |
にかせんしょくたい |
説明 |
減数分裂(meiosis)の第一分裂前期から中期にかけて2本の相同染色体(homologous chromosome)が対合した状態をいう.したがって,二価染色体の数は二倍体(2n)の生物ではn本となり,それぞれが四分染色分体(chromatid tetrad)から構成されている.第一減数分裂が完了した時点で,細胞当たりの染色体数はもとの2nからnとなる.四分染色分体間ではしばしば部分的交換が起こる.この交換の部分をキアズマ(chiasma)という.染色体(chromosome),乗換(crossing over)参照. |
英語 |
secondary constriction |
日本語 |
二次狭窄 |
読み仮名 |
にじきょうさく |
説明 |
分裂中期(metaphase)の染色体(chromosome)の動原体(centromere,一次狭窄ともいわれる)以外の腕部にみられるくびれ.核小体(nucleolus)形成領域に相当するものと,単に形態的な特徴としてのものとがある.ギャップ(gap)との識別に紛らわしい場合もあり,注意が必要である. |
英語 |
dicentric (chromosome) |
日本語 |
二動原体(染色体) |
読み仮名 |
にどうげんたい(せんしょくたい) |
説明 |
二つの動原体(centromere)を持つ染色体(chromosome).二つの染色体に切断が起こり,動原体を含む部分が再融合して生じる.構造異常の中の染色体交換に分類される.染色体間交換(interchange)参照. |
英語 |
diploid |
日本語 |
二倍体(diploidy 二倍性) |
読み仮名 |
にばいたい |
説明 |
基本染色体数(n)の2倍の染色体数(2n)を有する細胞または個体.半数体(haploid),倍数体(polyploid)参照. |
英語 |
nutrient broth |
日本語 |
ニュートリエントブロス |
読み仮名 |
にゅーといりえんとぶろす |
説明 |
微生物の培養に用いる液体栄養培地.細菌を用いる復帰突然変異(reverse mutation)試験ではテスト菌株の前培養に用いる. |
英語 |
nucleoside |
日本語 |
ヌクレオシド |
読み仮名 |
ぬくれおしど |
説明 |
プリンあるいはピリミジン塩基がリボースまたはデオキシリボースと結合したもの. |
英語 |
nucleosome |
日本語 |
ヌクレオソーム |
読み仮名 |
ぬくれおそーむ |
説明 |
DNAと核タンパク質の複合体.chromatin(染色質)を構成する最小単位. |
英語 |
nucleotide |
日本語 |
ヌクレオチド |
読み仮名 |
ぬくれおちど |
説明 |
ヌクレオシド(nucleoside)にリン酸基が結合したもの.核酸は塩基がピリミジン塩基またはプリン塩基のヌクレオチドの重合体(ポリヌクレオチド)である.2ないし十数個のヌクレオチド重合体をオリゴヌクレオチドという. |
英語 |
Salmonella typhimurium |
日本語 |
ネズミチフス菌,サルモネラ菌 |
読み仮名 |
ねずみちふすきん,さるもねらきん |
説明 |
Enterobacteriaceaeに属する通性嫌気性のグラフ陰性桿菌.無毒化された菌株は,エームス試験(Ames test)による変異原(mutagen)の検定など多方面の研究に広く利用されている.Ames testに用いる菌株はB. N. Ames博士が開発したヒスチジン要求性の変異株である.TA100,TA1535,TA92は塩基対置換(base substitution)型,TA98,TA1537,TA1538,TA94,TA97,TA97aはフレームシフト(frameshift)型の変異原の検索に用いる.また,TA92,TA94,TA102はDNA鎖間に架橋する型の変異原(例えば,マイトマイシンCなど)の検索にも用いる. |
英語 |
crossing over |
日本語 |
乗換 |
読み仮名 |
のりかえ |
説明 |
相同染色体間で相対する部分が相互に交換されること.減数分裂時の二価染色体(bivalent chromosome)においてキアズマ(chiasma)が形成されることで知られている. |
英語 |
gamete |
日本語 |
配偶子 |
読み仮名 |
はいぐうし |
説明 |
成熟した有性の生殖細胞(germ cell).動物の精子や卵子をさす.配偶子(gamete)は減数分裂(meiosis)により体細胞の半数(n)の染色体(chromosome)を持つ. |
英語 |
historical data |
日本語 |
背景値 |
読み仮名 |
はいけいち |
説明 |
同一研究室および一定期間内に集められたデータ.同義的な用語としてbackground dataがある. |
英語 |
polyploid |
日本語 |
倍数体(polyploidy倍数性) |
読み仮名 |
ばいすうたい(polyploidyばいすうせい) |
説明 |
生物体の体細胞は,配偶子のもっている基本的な染色体(chromosome)数,すなわち半数体(haploid,n)の2倍の染色体(2n)を有する.二倍性(diploidy)細胞からなる個体を二倍体(diploid)という.このnの数が3n,4nのように整数倍した場合を三倍体,四倍体という.これらを総称して倍数体という. |
英語 |
haploid |
日本語 |
半数体,一倍体(haploidy 半数性) |
読み仮名 |
ばいすうたい,いちばいたい (はんすうせい) |
説明 |
精子および卵子などの生殖細胞(germ cell)にはそれぞれ一組の染色体(chromosome)が含まれており,それらの細胞を半数体(haploid)細胞または(haploid)細胞という.配偶子(gamete)のもつ基本的な染色体数は通常nで表される. |
英語 |
hybridization |
日本語 |
ハイブリッド形成,雑種形成,交雑 |
読み仮名 |
はいぶりっどけいせい,ざっしゅけいせい,こうざつ |
説明 |
異なる対立遺伝子をホモに持つ個体間で交配を行い,ヘテロの個体を作りだすこと.一般には,遺伝的に異なる個体間で交配を行い,雑種を作り出すこと.また,細胞融合(cell fusion)による雑種(hybrid)細胞の作出をさすこともある.他に,遺伝子工学の分野では核酸分子のハイブリッド形成が用いられており,southern blot hybridization, northern blot hybridizationなどの手法がある. |
英語 |
culture confluency |
日本語 |
培養(細胞)飽和密度 |
読み仮名 |
ばいよう(さいぼう)ほうわみつど |
説明 |
培養時における細胞密度の飽和状態.通常,細胞密度が最高に達すると増殖は抑制される. |
英語 |
cloning efficiency |
日本語 |
播種効率 |
読み仮名 |
はしゅこうりつ |
説明 |
1個の培養細胞がクローン(clone)を形成する割合.通常,少量の細胞を適切な培養条件下で播種した後,形成されたコロニー(colony)を計数し,播種細胞数で除した値. |
英語 |
octaploid |
日本語 |
八倍体 |
読み仮名 |
はちばいたい |
説明 |
基本数(n)の8倍の染色体(chromosome)を持つ倍数性個体または細胞.polyploid(倍数性)参照. |
英語 |
tumor initiator |
日本語 |
発がんイニシエーター |
読み仮名 |
はつがんいにしえーたー |
説明 |
正常細胞のDNAに作用して細胞のがん化の引き金となる傷害を与える物質.多段階発がん(multistage carcinogenesis)参照. |
英語 |
tumor promoter |
日本語 |
発がんプロモーター,発がん促進物質 |
読み仮名 |
はつがんぷろもーたー,はつがんそくしんぶっしつ |
説明 |
発がんイニシエーター(tumor initiator)によってがん細胞としての潜在性を持つようになった細胞に作用して,細胞の増殖性を亢進させる物質.多段階発がん(multistage carcinogenesis)参照. |
英語 |
background lawn |
日本語 |
バックグランドローン(背景細菌叢) |
読み仮名 |
ばっくぐらんどろーん(はいけいさいきんそう) |
説明 |
エームス試験(Ames test)や細菌を用いる復帰突然変異(reverse mutation)試験に用いられる用語.少量のヒスチジンやトリプトファン(ともにアミノ酸の一種)を含む上層寒天(top agar)で増殖する細菌叢.細菌はこの上層寒天中で数回分裂し,その間に誘発された変異が固定される.寒天平板上での細菌の増殖の指標とされる. |
英語 |
battery method |
日本語 |
バッテリー試験法 |
読み仮名 |
ばってりーしけん |
説明 |
数種の試験を同時に行い,それらの結果を並列に並べて総合的に評価する方法.段階試験法(tier method)参照. |
英語 |
sex-linked inheritance |
日本語 |
伴性遺伝 |
読み仮名 |
はんせいいでん |
説明 |
性染色体(sex-chromosome)上に座位する遺伝子(gene)による遺伝.この場合の遺伝様式は,常染色体上の遺伝子とは異なり,性に依存した伝達,分離をする.X染色体上にある劣性(recessive)遺伝子について,ホモの雌(XX)を優性の対立遺伝子(allele)をもつ雄(XY)と交配すると,F1の雌は全て優性(dominant)の表現型(phenotype)となるが,雄は全て劣性の表現型となる. |
英語 |
sex-linked recessive lethal mutation |
日本語 |
伴性劣性致死突然変異 |
読み仮名 |
はんせいれっせいちしとつぜんへんい |
説明 |
X染色体に起こる劣性(recessive)の致死突然変異(mutation).ショウジョウバエを用いる伴性劣性致死試験(Drosophila sex-linked recessive lethal test),伴性遺伝(sex liked inheritance)参照. |
英語 |
banding pattern |
日本語 |
バンドパターン |
読み仮名 |
ばんどぱたーん |
説明 |
染色体(chromosome)上の色素吸着模様.染色体の核タンパクと特定色素の結合により,染色体が縞状の濃淡に染め分けられ特定の模様を呈する.染色体の識別あるいは切断点の解析などに利用されている.G-バンド,C-バンド,Q-バンドなどがある. |
英語 |
photoreactivation |
日本語 |
光回復 |
読み仮名 |
ひかりかいふく |
説明 |
光照射によってDNAの損傷が修復される現象.例えば,紫外線で生じたDNA上のピリミジンニ量体(pyrimidine dimer,紫外線によるDNA損傷の本体)が,光回復酵素の触媒作用によってもとの一量体に修復される現象. |
英語 |
microtuble |
日本語 |
微小管 |
読み仮名 |
びしょうかん |
説明 |
チューブリン(tubulin)が主な構成タンパク質であり,真核細胞に広く存在する微小管状構造.微小管は紡錘糸(spindle fiber)として染色体(chromosome)の移動に関与する. |
英語 |
minute chromosome |
日本語 |
微小染色体 |
読み仮名 |
びしょうせんしょくたい |
説明 |
一組の核型(karyotype)の中で特に小型の染色体(chromosome)のこと.鳥類や爬虫類の細胞に多く存在し,正常な染色体として行動する.微小断片(minute)とは異なる. |
英語 |
minute |
日本語 |
微小断片 |
読み仮名 |
びしょうだんぺん |
説明 |
染色体(chromosome)構造異常の一つ.環状断片(acentric ring)が小さい場合にしばしば微小断片とよばれ,minuteあるいはdouble minuteと表されている.微小断片は一対の点状の外見を取り,染色分体(chromatid)幅と同じか,それよりも小さい. |
英語 |
achromatic region |
日本語 |
非染色性部位 |
読み仮名 |
ひせんしょくせいぶい |
説明 |
染色体(chromosome)上の染色性のない部位.ギャップ(gap) 参照. |
英語 |
non-histone chromosomal protein |
日本語 |
非ヒストン染色体タンパク質 |
読み仮名 |
ひひすとんせんしょくたいたんぱくしつ |
説明 |
染色体(chromosome)を構成するヒストン,プロタミン以外のタンパク質の総称. |
英語 |
non-mutagenic carcinogen |
日本語 |
非変異がん原物質 |
読み仮名 |
ひへんいがんげんぶっしつ |
説明 |
遺伝毒性のないがん原物資(non-genotoxic carcinogen)と同義. |
英語 |
mast cell |
日本語 |
肥満細胞,肥胖細胞 |
読み仮名 |
ひまんさいぼう,ひはんさいぼう |
説明 |
血液中の好塩基球と同様に,強い好塩基性顆粒を持つ細胞.細胞中に存在する顆粒には,ヘパリン,ヒスタミン,セロトニンなど,ムコ多糖類が含まれており,細胞崩壊によって顆粒および顆粒中の物質が放出されると,組織に即時型過敏反応(炎症)をおこす.ラット小核試験(micronucleus test)では,ギムザ染色により mast cell の持つ顆粒が染色され,小核と混同されることがある. |
英語 |
phenotype |
日本語 |
表現型(反義語:genotype) |
読み仮名 |
ひょうげんがた |
説明 |
ある遺伝子(gene)または遺伝子群の支配によって発現された形質の型.遺伝子型(genotype)と対比させて表すことがある. |
英語 |
phenocopy |
日本語 |
表現型模写 |
読み仮名 |
ひょうげんがたもしゃ |
説明 |
表型模写ともいう.遺伝子(gene)の形質発現の過程で,環境の変化の影響を受けて,遺伝子型(genotype)は変わらないにもかかわらず,表現形質だけが別の遺伝子型と相似なものに変化すること. |
英語 |
pyrimidine dimer |
日本語 |
ピリミジン二量体 |
読み仮名 |
ぴりみじんにりょうたい |
説明 |
紫外線によってDNA上に生ずる損傷であり,隣り合ったピリミジン塩基,すなわちチミンとチミン,チミンとシトシンまたはシトシンとシトシンの結合体が生じたもの.ピリミジン二量体が形成されてもその多くは除去修復(excision repair)されるが,まれに誤った修復(repair)がなされることがあり,これが突然変異(mutation)となる. |
英語 |
fluorescence in site hybrdization (FISH) method |
日本語 |
FISH法 |
読み仮名 |
ふいっしゅほう |
説明 |
標識したDNAプローブを用い,染色体(chromosome)標本上でハイブリダイゼーションを行い,蛍光によりその特定部位を同定する手法. |
英語 |
adduct |
日本語 |
付加体 |
読み仮名 |
ふかたい |
説明 |
化学物質の生体分子への付加生成物.付加複合体またはその一部.DNA付加体(DNA-adduct)とはDNAと化学物質との付加体のことで,変異原(mutagen)の多くはDNAと付加体を作る. |
英語 |
replication |
日本語 |
複製 |
読み仮名 |
ふくせい |
説明 |
既存のDNAと同じ塩基配列を持つDNAが合成されること. |
英語 |
post-replication repair |
日本語 |
複製後修復 |
読み仮名 |
ふくせいごしゅうふく |
説明 |
DNA上の損傷が修復(repair)されないまま,DNAの複製が行われる場合には,新たに合成されるDNA鎖は,損傷部分をとばして合成される.この空白部分がその後修復される場合を,複製後修復という.複製後修復の代表的なものとして組換え修復(recombination repair)やSOS修復(SOS repair)などがある. |
英語 |
replicative DNA synthesis |
日本語 |
複製のためのDNA合成 |
読み仮名 |
ふくせいのためのでぃーえぬえーごうせい |
説明 |
細胞の増殖に伴う通常の細胞周期(cell cycle)のS期に行われるDNA合成.定期DNA合成ともいう.一方,DNAの修復のために行われるDNA合成を不定期DNA合成(unscheduled DNA synthesis)という. |
英語 |
reverse mutation |
日本語 |
復帰突然変異 |
読み仮名 |
ふっきとつぜんへんい |
説明 |
変異を起こしている細胞が,もとの表現型(phenotype)に戻るような突然変異(mutation),back mutationともいう.これに対して最初の突然変異を前進突然変異(forward mutation)とよぶ. |
英語 |
revertant |
日本語 |
復帰突然変異体 |
読み仮名 |
ふっきとつぜんへんいたい |
説明 |
突然変異(mutation)によってもとの野生型(wild type)の表現型(phenotype)を回復した突然変異体. |
英語 |
restitution nucleus |
日本語 |
復旧核 |
読み仮名 |
ふっきゅうかく |
説明 |
減数分裂(meiosis)や体細胞分裂の中期または後期に異常を生じ,娘染色体が分配されないで一つになった核.その結果,染色体(chromosome)数の倍加した核が形成される.体細胞分裂ではコルヒチンによって人為的に起こすことができる.倍数体(polyploid)の原因の一つとなる. |
英語 |
unscheduled DNA synthesis (UDS) |
日本語 |
不定期 DNA 合成 |
読み仮名 |
ふていきでぃーえぬえーごうせい |
説明 |
化学物質や放射線によりDNAに損傷を受けた場合,細胞周期(cell cycle)の時期を問わずに不定期に行われる除去修復(excision repair)のためのDNA合成.S期以外にもDNA合成が誘起されることから名付けられ,repair DNA synthesisともよばれる.突然変異(mutation)を誘発する可能性のあるDNA損傷を検出する試験の一つとしてUDS testがある.なお,UDS testと類似した方法で細胞の増殖性を指標にしたRDS test(S-phase合成試験)がある. |
英語 |
plaque |
日本語 |
プラーク,溶菌斑 |
読み仮名 |
ぷらーく,ようきんはん |
説明 |
ファージと感受性菌を混ぜて一緒に培養すると,一面に増殖した細菌の中にファージによって溶菌が起こった部分が円形の斑点を作る.この斑点をプラークという. |
英語 |
plasmid |
日本語 |
プラスミド |
読み仮名 |
ぷらすみど |
説明 |
染色体(chromosome)とは別個に存在して自立的に増殖する遺伝子の総称.細菌を用いる復帰突然変異(reverse mutation)試験で変異原(mutagen)に対する感受性を上げるために,pKM101,pAQ1などのプラスミドを導入した菌株が用いられている. |
英語 |
preincubation method |
日本語 |
プレインキュベーション法 |
読み仮名 |
ぷれいんきゅべーしょんほう |
説明 |
細菌を用いる復帰突然変異(reverse mutation)試験の手法の一つで,代謝活性化(metabolic activation)反応を液体中で高濃度かつ効率よく行わせてから試験を実施する方法.代謝活性化を必要とする変異原の検出感度を高めた改良法である.この方法は,日本で開発されたため本邦でよく用いられている. プレート法(plate incorporation method)参照 |
英語 |
plate inocorporation method |
日本語 |
プレート法 |
読み仮名 |
ぷれーとほう |
説明 |
細菌を用いる復帰突然変異(reverse mutation)試験で,細菌を被験物質と共に直接寒天培地上に播く方法.B.N.Ames博士の原報に発表された方法である. |
英語 |
frameshift (mutation) |
日本語 |
フレームシフト(突然変異) |
読み仮名 |
ふれーむしふと(とつぜんへんい) |
説明 |
一個または複数の塩基の挿入あるいは欠失によりコドン(codon)の配列がずれる突然変異(mutation).細菌を用いる復帰突然変異(reverse mutation)試験で汎用されるネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)TA1537, TA98はフレームシフト変異が検出できる. |
英語 |
mitotic phase |
日本語 |
分裂期 |
読み仮名 |
ぶんれつき |
説明 |
細胞分裂(mitosis)を行なっている時期.M期と略記されることもある. 細胞周期(cell cycle)参照. |
英語 |
anaphase |
日本語 |
分裂後期 |
読み仮名 |
ぶんれつこうき |
説明 |
細胞分裂(mitosis)の後期.姉妹染色分体(chromatid)がそれぞれの極に移動していく時期を示す.細胞周期(cell cycle)参照. |
英語 |
mitotic index |
日本語 |
分裂指数 |
読み仮名 |
ぶんれつしすう |
説明 |
細胞集団中の分裂細胞の頻度.一般には,細胞総数に対する分裂中期(metaphase)細胞の割合. |
英語 |
telophase |
日本語 |
分裂終期 |
読み仮名 |
ぶんれつしゅうき |
説明 |
細胞分裂(mitosis)の最後の時期.後期に分かれた姉妹染色分体(chromatid)がそれぞれの極に到達して娘核となり,核膜が形成される.細胞周期(cell cycle)参照. |
英語 |
prophase |
日本語 |
分裂前期 |
読み仮名 |
ぶんれつぜんき |
説明 |
細胞分裂(mitosis)の前期.染色糸が短縮肥大化しはじめ,染色体(chromosome)の形態をとるようになる.核小体(nucleolus)も次第に消失する. |
英語 |
prometaphase |
日本語 |
分裂前中期 |
読み仮名 |
ぶんれつぜんちゅうき |
説明 |
紡錘体の形成がはじまり,染色体(chromosome)の短縮化が進行する時期.また,核膜も消失する.細胞分裂(mitosis)参照. |
英語 |
mitotic apparatus |
日本語 |
分裂装置 |
読み仮名 |
ぶんれつそうち |
説明 |
細胞小器官(organelle)のうち細胞分裂(mitosis)を司る紡錘体,中心体,星状体などの総称. |
英語 |
mitotic inhibitor |
日本語 |
分裂阻害剤 |
読み仮名 |
ぶんれつそがいざい |
説明 |
細胞分裂(mitosis)を阻害する作用をもつ化学物質.これらの処理により,結果として倍数体(polyploid)あるいは染色体(chromosome)数の異常が起こることもある.紡錘体毒(spindle poison)参照. |
英語 |
mitotic delay |
日本語 |
分裂遅延 |
読み仮名 |
ぶんれつちえん |
説明 |
変異原(mutagen)などで処理された細胞の分裂中期(metaphase)に到達する時間が正常の場合よりも長くなること. |
英語 |
metaphase |
日本語 |
分裂中期 |
読み仮名 |
ぶんれつちゅうき |
説明 |
細胞分裂(mitosis)の一時期をさす.紡錘体が形成され,染色体(chromosome)が細胞の中央の赤道板に並ぶ時期.染色体はすでに2本の染色分体(chromatid)に分かれているが,動原体(centromere)はまだ分離していない.細胞周期(cell cycle) ,細胞分裂(mitosis)参照. |
英語 |
metaphase arrest |
日本語 |
分裂中期停止 |
読み仮名 |
ぶんれつちゅうきていし |
説明 |
紡錘体毒(spindle poison)を用いて,細胞分裂(mitosis)を分裂中期(metaphase)で止めること,染色体(chromosome)観察に必須の処理. |
英語 |
mitotic poison |
日本語 |
分裂毒 |
読み仮名 |
ぶんれつどく |
説明 |
分裂阻害剤(mitotic inhibitor)と同義. |
英語 |
mitogen |
日本語 |
分裂誘発剤 |
読み仮名 |
ぶんれつゆうはつざい |
説明 |
G0期の細胞を刺激して分裂を起こさせる物質,例えば,末梢血リンパ球の分裂を誘発する植物性血球凝集素(phytohemagglutinin,PHA)など.細胞周期(cell cycle)参照. |
英語 |
peroxisome |
日本語 |
ペルオキシソーム |
読み仮名 |
ぺるおきしそーむ |
説明 |
一群の酸化酵素を含有する細胞質(cytoplasm)内の小顆粒,直径0.3~1.5μmで,一重の膜に包まれている.代表的な酵素にはカタラーゼ,ペルオキシターゼ,D-アミノ酸酸化酵素,尿酸酸化酵素,グリコール酸酸化酵素などがある. |
英語 |
mutagen |
日本語 |
変異原 |
読み仮名 |
へんいげん |
説明 |
自然突然変異(mutation)よりも高い割合で,突然変異を誘発する物理的,化学的,生物的要因の総称.環境中に存在するこれらの要因を環境変異原という.われわれの環境中には多種多様な化学物質があり,突然変異を誘発する化学変異原(chemical mutagen)も少なくないことから,一般に変異原というと化学変異原をさす場合が多い.変異原が用いられた当初は,遺伝毒性物質と同意であった.すなわち遺伝子突然変異(gene mutation),染色体(chromosome)異常,DNA損傷の誘発物質を全て意味していた.その後,変異原は DNA 損傷性を除く,遺伝子突然変異あるいは染色体異常を誘発する物質に対して用いられている.最近では,変異原を遺伝子突然変異を誘発する場合に限定して使用することがある.解説参照. |
英語 |
mutagenicity |
日本語 |
変異原性 |
読み仮名 |
へんいげんせい |
説明 |
一般的には,化学物質による突然変異誘発作用をいう.しかし最近,遺伝毒性,遺伝子毒性(genotoxicity)よりも限定的に用いられることがあり,その場合には,遺伝子突然変異誘発性をさす. |
英語 |
mutagenicity test |
日本語 |
変異原性試験 |
読み仮名 |
へんいげんせいしけん |
説明 |
化学物質の突然変異(mutation)誘発作用を検出する試験.遺伝子突然変異(gene mutation)を検出する方法,染色体(chromosome)異常を検出する方法,突然変異の初期変化としてDNA損傷を検出する方法などがある.一般には, 遺伝毒性試験(genotoxicity test)と同義的に用いられているが,最近,遺伝子突然変異検出法に限定して用いることもある. |
英語 |
desmutagen |
日本語 |
変異原不活化物質 |
読み仮名 |
へんいげんふかつかぶっしつ |
説明 |
変異原(mutagen)がDNAに損傷を与える前に,変異原に直接作用して不活化する物質.抗変異原(antimutagen)参照. |
英語 |
spore test |
日本語 |
胞子法 |
読み仮名 |
ほうしほう |
説明 |
遺伝毒性(genotoxicity)を検出する試験法の一つ.枯草菌の胞子を利用した修復試験(spore rec-assay)のこと.レックアッセイ(rec-assay)参照. |
英語 |
radiomimetic |
日本語 |
放射線類似作用の |
読み仮名 |
ほうしゃせんるいじさようの |
説明 |
放射線によって生体内に引き起こされる遺伝子(gene)や染色体(chromosome)の突然変異(mutation)と同様の効果を持つ化学物質の性質を言う.例ブレオマイシン. |
英語 |
spindle fiber |
日本語 |
紡錘糸 |
読み仮名 |
ぼうすいし |
説明 |
紡錘体を構成する糸(繊維)状構造の総称.微小管(microtubule)により構成されている.紡錘体(spindle body)は,分裂前期(prophase)の終わりに核膜が消失するのに先だって現われ,染色体(chromosome)が両極に移動する際に重要な役割を持ち,後期には消失する.紡錘糸は正常な場合には二極間で紡錘形を示すが,薬物処理などによって多極紡錘体となることもある.なお,細胞分裂を有糸分裂と称するのは、分裂時に紡錘糸を形成することに由来する.チューブリン(tubulin)参照. |
英語 |
spindle poison |
日本語 |
紡錐体毒 |
読み仮名 |
ぼうすいたいどく |
説明 |
紡錘体の形成,機能に障害を与える物質.コルヒチン,コルセミド,ビンブラスチン,グリセオフルビンなど.紡錘体毒は倍数体(polyploid)や異数体(aneuploid)を誘発する.分裂阻害剤(mitotic inhibitor)参照. |
英語 |
hot spot |
日本語 |
ホットスポット |
読み仮名 |
ほっとすぽっと |
説明 |
突然変異(mutation)を起こし易いDNA塩基配列中の部位,あるいは切断を受け易い染色体(chromosome)部位. |
英語 |
mammalian cell gene mutation test |
日本語 |
哺乳類培養細胞を用いる遺伝子突然変異試験 |
読み仮名 |
ほにゅうるいばいようさいぼうをもちいるいでんしとつぜんへんいしけん |
説明 |
代表的な試験として,マウスリンパ腫細胞 L5178Y を用いたチミジンキナーゼ(TK+/-)アッセイ,チャイニーズハムスター由来V79細胞および CHO 細胞をもちいたヒポキサンチングアニンホスフォリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)アッセイ, V79細胞を用いたウアバイン耐性アッセイなどがある.マウスリンフォーマ試験(mouse lymphoma assey)参照. |
英語 |
polysome |
日本語 |
ポリソーム |
読み仮名 |
ぽりそーむ |
説明 |
タンパク質合成を行う細胞小器官(organelle).メッセンジャーRNAによってリボソーム(RNAとタンパク質から構成される粒子)が一列に連続した構造を持ち,細胞内でタンパク質合成を司っている. |
英語 |
polypeptide |
日本語 |
ポリペプチド |
読み仮名 |
ぽりぺぷちど |
説明 |
アミノ酸がペプチド結合で連なって出来た重合体.実際上タンパク質とポリペプチドの区別をつけることはできないが,習慣的にポリペプチドはタンパク質よりもアミノ酸の種類,数共に比較的少なく,変性を受け難く,透析膜を通過する程度の大きさのものをいう. |
英語 |
pol-assay |
日本語 |
ポルアッセイ |
読み仮名 |
ぽるあっせい |
説明 |
大腸菌(Escherichia coli)のDNAポリメレース欠損変異株を用い,菌の生死を指標にしてDNA損傷を検出する試験系. レックアッセイ(rec-assey)参照. |
英語 |
mycoplasma |
日本語 |
マイコプラズマ |
読み仮名 |
まいこぷらずま |
説明 |
分類学的にはウイルスと細菌の中間に位置する一群の微生物.人工培地で自己増殖が可能な最小の微生物であり,細胞培養時にしばしば汚染の原因となる. |
英語 |
mouse lymphoma assay |
日本語 |
マウスリンフォーマ試験 |
読み仮名 |
まうすりんふぉーましけん |
説明 |
マウスリンパ腫細胞 L5178Y を用い,常染色体(autosome)上に存在するチミジンキナーゼ(thymidine kinase)遺伝子の変異(TK+/-→ TK-/-)を指標とした遺伝毒性試験(genotoxicity test).大きな欠失も検出可能なことにより,遺伝子突然変異(gene mutation)と染色体(chromosome)異常が同時に検出できるといわれている. 哺乳類培養細胞を用いる遺伝子突然変異試験(mammanlian cell gene mutation test)参照. |
英語 |
missense mutation |
日本語 |
ミスセンス変異 |
読み仮名 |
みすせんすへんい |
説明 |
突然変異(mutation)により,コドン(codon)の塩基配列が変化し,別のアミノ酸に置き換わること.この変化したコドンを missense codon という. |
英語 |
premature chromosome condensation |
日本語 |
未成熟染色体凝縮 |
読み仮名 |
みせいじゅくせんしょくたいぎょうしゅく |
説明 |
同一細胞中に分裂期(M期)と間期の核とが共存すると,間期の核のクロマチンが凝縮する現象.分裂中期の染色体異常ではなく,多核細胞や小核を含む細胞での内的要因によって生じる.凝縮像は細胞周期によって異なり,G2期では細長く伸びた2本の染色分体が未成熟染色体凝縮を呈する7).染色体細粉化(chromosome pulverization)参照 |
英語 |
tight junction |
日本語 |
密着結合 |
読み仮名 |
みっちゃくけつごう |
説明 |
細胞間結合(cell junction)の一様式.隣接する細胞膜同志が密着して細胞間間隙が存在しない状態の結合. |
英語 |
mitochondria |
日本語 |
ミトコンドリア |
読み仮名 |
みとこんどりあ |
説明 |
真核細胞にみられる細胞小器官(organelle).酸化的リン酸化によりATPを合成する.細胞質遺伝(cytoplasmic inheritance)を司るミトコンドリアDNAを持ち,これをターゲットとした遺伝子突然変異(gene mutation)試験が行われることがある. |
英語 |
mutator gene |
日本語 |
ミューテーター遺伝子 |
読み仮名 |
みゅーてーたーいでんし |
説明 |
他の遺伝子(gene)の突然変異率(mutation rate)を増加させる作用を持つ遺伝子.例えば誤りがちなDNA複製を担う酵素などの遺伝子. |
英語 |
acentric fragment |
日本語 |
無動原体(染色体)断片 |
読み仮名 |
むどうげんたい(せんしょくたい)だんぺん |
説明 |
動原体(centromere)のない染色体(chromosome)断片. |
英語 |
reticulocyte |
日本語 |
網赤血球 |
読み仮名 |
もうせっけっきゅう |
説明 |
超生体染色(supervital staining)により網状構造が観察される幼若な赤血球.小核試験(micronucleus test)において観察対象の細胞とされる多染性赤血球(polychromatic erythrocyte)とほぼ同一の細胞集団をさす. |
英語 |
back cross |
日本語 |
戻し交配,戻し交雑 |
読み仮名 |
もどしこうはい,もどしこうざつ |
説明 |
雑種第一世代(F1)を,その親(P)と交配すること.稀に雑種第二世代(F2)以降の個体とPとの交配にもこの用語が使われることもある. |
英語 |
monosomy |
日本語 |
モノソミー |
読み仮名 |
ものそみー |
説明 |
相同染色体(chromosome)の一方が欠失した状態.また,染色体を部分的に欠損した場合は,部分的モノソミー(partial monosomy)という. |
英語 |
drug metabolizing enzyme |
日本語 |
薬物代謝酵素 |
読み仮名 |
やくぶつたいしゃこうそ |
説明 |
生体内に取り込まれた薬物を代謝する酵素の総称.薬物代謝の主要器官は肝臓であり,薬物代謝酵素は肝臓のホモジネートを超遠心分離したミクロゾーム分画,ミトコンドリア分画および上清に含まれる.代謝過程には酸化,還元,加水分解からなる第溜オ相反応,抱合などからなる第溜カ相反応がある.第溜オ相反応を司るチトクロームP-450は薬物代謝酵素の代表例である.変異原(mutagen)には薬物代謝の過程でDNAに対する反応性を獲得するものがある.代謝活性化(metabolic activation)参照. |
英語 |
pharmacokinetics |
日本語 |
薬物動態学 |
読み仮名 |
やくぶつどうたいがく |
説明 |
通常薬物の生体内消長を速度論的立場から解析しようとするもので,投与後の薬物の血中濃度,消失半減期,代謝速度,排泄速度,蓄積量などの量的予測を行う.これにより生体内における薬理現象の機構解明,投与量,投与間隔,剤型などの決定に役立つ. |
英語 |
wild type |
日本語 |
野生型 |
読み仮名 |
やせいがた |
説明 |
正常型ともいい,自然集団中で最も高頻度にみられる遺伝子型(genotype).また,突然変異(mutation)をおこす前の遺伝子型をさすこともある. |
英語 |
umu assay |
日本語 |
ユーエムユーアッセイ |
読み仮名 |
ゆうえむゆうあっせい |
説明 |
ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium TA1535/pSK1002)を用いて、umuC遺伝子の発現をβ-ガラクトシダーゼ活性の誘導能を指標にした遺伝毒性試験法の一つで、化学物質のDNA損傷性を検出する試験系. DNA損傷によりumuC遺伝子発現が強く誘導される.このことは、化学物質がDNAに損傷を与えていることを示す.類似の試験にレックアッセイ(rec-assay)とポルアッセイ(pol-assay)がある. |
英語 |
dominant |
日本語 |
優性 |
読み仮名 |
ゆうせい |
説明 |
対立遺伝子(allele)がヘテロの状態で発現される形質を他方の形質に対して優性という.この形質が優性形質(dominant character),遺伝子が優性遺伝子(dominant gene)である.一方,ヘテロの状態では隠れ,ホモの状態でなくては発現しない形質を他方に対して劣性(recessive)とよぶ.形質または遺伝子を英文字で示す場合,一般的に優性に大文字,劣性に小文字を用いる. |
英語 |
dominant lethal |
日本語 |
優性致死 |
読み仮名 |
ゆうせいちし |
説明 |
遺伝情報に変化が生じ,ヘテロ接合体においても致死となる現象. |
英語 |
dominant lethal test |
日本語 |
優性致死試験 |
読み仮名 |
ゆうせいちししけん |
説明 |
化学物質の遺伝毒性(genotoxicity)を検出するin vivo試験の一つ.一般に雄マウスに被験物質を投与し,無処理雌と交配する.減数分裂(meiosis)終了後に生殖細胞(精子細胞~精子)に生じた染色体異常は,胚の初期死亡および不着床を引き起こすので,これを指標とする.減数分裂前の精原細胞および精母細胞に染色体異常が生じた場合は,減数分裂の過程で死滅して精子数の減少をきたし,不妊あるいは不受精卵が増加する.この妊性の低下も優性致死試験の指標の一つになる. |
英語 |
induced mutation frequency |
日本語 |
誘発突然変異頻度 |
読み仮名 |
ゆうはつとつぜんへんいひんど |
説明 |
自然突然変異(mutation)の発生率と比べ,変異原(mutagen)の作用により誘発される突然変異の頻度. |
英語 |
positive control(group) |
日本語 |
陽性対照(群)(反義語,negative control) |
読み仮名 |
ようせいたいしょう(ぐん) |
説明 |
遺伝毒性試験(genotoxicity test)では,試験系が正常に反応しているかどうかを確認するために,明らかに陽性反応を示す化学物質で処理した群を設け,これらを陽性対照群という.反義語,陰性対照群(negative control) |
英語 |
dose dependence |
日本語 |
用量依存性 |
読み仮名 |
ようりょういぞんせい |
説明 |
被験物質の処理量の増加に伴い,生体,もしくは細胞に突然変異(mutation)などの異常が誘発される頻度が上昇していく性質. |
英語 |
tetraploid |
日本語 |
四倍体(tetraploidy四倍性) |
読み仮名 |
よんばいたい(よんばいせい) |
説明 |
基本染色体数(n)の4倍(4n)の染色体(chromosome)を持つ細胞または個体.核分裂に対して細胞分裂(mitosis)が伴わなかった場合や,分裂した娘細胞が再融合した場合などに生じる.倍数体(polypoid)参照. |
英語 |
oogenesis |
日本語 |
卵子形成 |
読み仮名 |
らんしけいせい |
説明 |
哺乳類の雌では,卵原細胞(oogonia)は胎生初期に増殖を終了して第一卵母細胞(primary oocytes)となり,第一減数分裂(meiosis)前期の復糸期で休止状態になり,性成熟に達して排卵される直前までこの状態で卵巣内にとどまる.この時期の卵核を胚胞(germinal vesicle)という.排卵される直前に性腺刺激ホルモンなどの作用をうけた第一卵母細胞は休止状態から抜け出して短時間で第一減数分裂を終了して第二卵母細胞(secondary oocyte)になり,第二減数分裂の中期のまま排卵される.その後,受精が刺激になり第二減数分裂が完了し,卵子が形成される.この二回の分裂において,細胞質は不均等に分かれ,娘細胞の一方は第一,第二極体となる.減数分裂(meiosis),極体(polar body)参照. |
英語 |
lysosome |
日本語 |
リソソーム |
読み仮名 |
りそそーむ |
説明 |
動植物細胞の細胞小器官(organelle)の一つ.環状の構造体で,リポタンパク性の単一膜で囲まれ,多種類の加水分解酵素を含む. |
英語 |
ribosome |
日本語 |
リボソーム |
読み仮名 |
りぼそーむ |
説明 |
タンパクの生合成の場として働くRNA-タンパク複合体で,全ての細胞と,ミトコンドリア(mitochondria)や葉緑体中に存在する.真核細胞のリボソームは,膜と結合して粗面小胞体を形成し,沈降係数は80S(分子量:4,000,000)で,60Sと40Sの2種類のサブユニットから構成されている.原核細胞のリボソームは,原形質中に遊離していて,沈降係数70S(分子量:2,700,000)で,50Sと30Sの2種類のサブユニットから構成されている. |
英語 |
ribonuclease |
日本語 |
リボヌクレアーゼ |
読み仮名 |
りぼぬくれあーぜ |
説明 |
RNAの分解酵素といい,RNaseと略記される. |
英語 |
rec-assay |
日本語 |
レックアッセイ |
読み仮名 |
れっくあっせい |
説明 |
枯草菌を用いて化学物質のDNA損傷性を検出する試験系.枯草菌にはDNA損傷に対し,組換え修復(recombination repair)能を有する野生株(wild type)と修復欠損株があり,欠損株はその生育が強く阻害される.したがって、野生株に比べて欠損株の生育を著しく阻害する化学物質はDNAに損傷を与えていることを示す.類似の試験にポルアッセイ(pol-assay)がある. |
英語 |
recessive |
日本語 |
劣性 |
読み仮名 |
れっせい |
説明 |
対立形質のうち,F1において隠れてしまう形質,あるいはホモの状態でなくては発現しない形質.反義語,優性(dominant). |
英語 |
linkage |
日本語 |
連鎖 |
読み仮名 |
れんさ |
説明 |
二つ以上の遺伝子(gene)が,同一染色体(chromosome)上に存在し,子孫に伝えられるとき行動を共にすること. |
英語 |
Y-chromosome |
日本語 |
Y染色体 |
読み仮名 |
わいせんしょくたい |
説明 |
X染色体とともに性決定に関与する性染色体(sex-chromosome)の一つ.哺乳類では雄の性染色体構成はXYである.一般にY染色体はX染色体よりも小さく,保持する遺伝子(gene)数も少ない.Y染色体には精巣の分化を促す雄化決定因子が存在する. |